2016年03月04日

私が新卒採用の時にどんな準備をしたり何を考えているか、というお話


新卒採用の二次面接に駆り出されるようになって結構な期間が経ちました。どういうわけか、毎年のように人事部署からお声がかかります。


私は単なるシステム関連部署の責任者なので、本来は人事担当でもなんでもありません。当社の新卒採用では、責任者がグループ面談のような形で新卒の方とお話をするので、システムの仕事を特に希望していない新卒の人についてもちょくちょくお話をすることになります。なんだかんだで、結構な数の学生さんとお話しました。

面接するスキルがあがった気は一向にしませんが、一応毎回毎回色々考えながら面接をしてはいるということで、ちょっと「自分がどんな準備をしたり何を考えて新卒の方とお話しているか」というのを書き出してみようと思います。

「こんな考えの面接担当もいるんだ」ということで、何かの参考にでもしていただけたら。


準備その一:各部署の採用計画を確認して、どのチームに配属することを想定しているのか聞いて回る
準備その二:配属されるチームと想定される育成計画から、会社はどんな人に来て欲しいのかなーという基準を考える


当たり前のことなのですが、会社において「どのチームの人が足りないのか」というのは年度ごとに違います。そして、新卒で採用された人は人が足りていないチームに配属される、訳ではありません。なぜなら、人が足りていないチームというのは、人を育てている余裕もないから。

新卒採用に即戦力を求める人は社会人としてちょっと頭おかしいので、新人さんにはちゃんと一から仕事を覚えてもらわなくてはいけませんし、マネージャーは仕事を覚えてもらう為の育成計画を立てないといけません。で、「どのチームで」仕事を覚えてもらって、「最終的にどのチームに」配属されるのか、というのはその時々によって違うので、まずそれを確認しておかなくてはいけません。


で、これも当たり前のことなのですが、どのチームに配属されるかによって、新人さんに持っていてほしいなーと思うスキルはちょっと異なってきます。


例えば、営業部署やカスタマーサポートの部署など、直接人とお話をするチームであれば、相手の話をよく聞いて、相手の感情をくみ取る能力とか、短時間で適切な回答を返せる能力とかが重要になってくるかもしれません。

例えば、経理や総務など、事務的な作業が多いチームであれば、決められた課題をスケジュール通りにこなせる能力とか、数字に対する親和性とかが重要になってくるかもしれません。

例えば、システム開発を行うチームであれば、論理的な思考にどれだけ長けているかとか、ある程度数学的な素養があるかどうかとか、勉強が好きかどうかなんかが重要になってくるかもしれません。

どの部署に配属されるにしても、例えば学習能力とか、人と話をするのが苦にならないかとか、共通して必要とされるスキルはもちろんあるので、そういうものについてもなるべく確認したいなーと思っています。


勿論新卒の方にも配属希望はあるので、それも併せて、「この採用枠では、どんな能力がある人に特にきて欲しいかなー」というのを最初に想定して、それを他の責任者の人ともすり合わせしておきます。これが第一段階です。



準備その三:履歴書やPR表から、上記の基準に合わせて何を聞いてみたいか、また何を聞いてもらいたがっているかを考える


上記にそって、「どんな質問をすれば、上のような能力についてわかるかなー?」と考えます。その際、例えば履歴書とか、学校での成績表をよく読んでおいて、関連しそうな項目について、色々細かいことを聞いてみます。

基本的には、新卒の方にはどんどん自己アピールをして欲しいので、なるべく話しやすそうなテーマから順番に選ぶようにしています。何かしらの突っ込みどころが用意してある履歴書も多いので、そういう突っ込みどころについてはまず突っ込んでみたりもします。余りにもあからさまなのはスルーしちゃうこともありますが。

なので、面接者から投げかけられる質問は、出来れば「越えなくてはいけない障害」ではなく「アピールのチャンス」と解釈して欲しいなあ、とは思います。

学習能力や理解力があるかどうかは、仕事の分野によっても変わってくるので一概に見分けるのは難しですが、「ある分野に対して興味をもって、その分野を掘り下げることが出来るかどうか」「掘り下げた内容を人に説明することが出来るかどうか」「わからないことがあった時どのように解決しようとするか」「分からないことをどうやって発見するか、という問題把握能力」などについては、ある程度一般的な基準になるだろうと思っています。

私自身は、例えば大学での研究や勉強などのエピソードを色々聞く中で、上のような話について確認してみることが多いです。

私は自分の知らない専門分野の話を聞くのが好きなので、成績表を見て、その人の専門分野について聞くことも多いです。これは、上の方で書いた「学習能力があるかないか」を確かめる為の質問のつもりです。この時、凄く楽しそうに話す人についてはいい印象が残ることが多いです。その人は、「好きなこと」を自分の専門として、それに打ち込める人だ、と私は考えるからです。

一方、「好きだからその分野を選んだ」といっておきながら、自分の専門分野について全く楽しくなさそうに話す人もいて、若干首を傾げるときもあります。どうせなら専門分野については楽しく話すといいんじゃないかなあ、と思います。

ありきたりな質問をしてもありきたりな答えしか帰ってこないということは面接する側もわかっていますし、マニュアル通りの答えだったらマニュアル通りだとわかります。なので、一般的な「面接のコツ」とか「面接のマニュアル」的なものを読むよりは、自分の履歴書と成績表を見て、「これを見たら面接する人はどういう質問をするかなあ」、ということを考えておいた方が有益なんじゃないかと思います。面接する側の気分になるの重要です。


いわゆる面接での作法みたいなものについては、私自身が良く知らないのであんまり気にしません。私自身は服装さえほとんど気にしません。気にする人は気にするんでしょうが。



○実際に面接する時に気にするところとか気になったところとか

何点かあります。

・はきはき喋れるのはいいことですが、急いで答える必要は全然ないです。迷ったらちょっと考えてもらっても全く問題ないですし、きちんと考えて真面目に答えてもらった方が、少なくとも私はいい印象を受けます。

・緊張するのは当たり前のことなので、面接する側としてはそれは割り引いて考えます。なので、例えばちょっとした言い間違えや、ちょっとしたつまりを気にする必要は全くないです。アナウンサーじゃないんですから、噛む方が普通ですし私もよく噛みます。

・注意して聞いていれば突っ込みどころがある業界説明をしてみて、終わってから「何か分からないことはありましたか?」と聞いてみる、というのをやってみて、適切に突っ込んでくる人は注意力がある人だなーと感心します。

・自分の履歴書や成績表は、事前によく読んでおいた方がいいんじゃないかなあと思います。

・新卒の方々は、これから社会に出ようというルーキーであると同時に、大学でやってきた分野については自分以上の知識を持っているエキスパートである、と、少なくとも私は考えています。だから、自分が大学でやってきた勉強や研究については誇りをもって欲しいなー、と思います。ボランティアの経験だとか、サークル長の経験も勿論貴重なのかも知れないですが、それ以上に、「ある分野についてきちんと研究してきた」という成果を説明してもらうことが、私にはとても重要な話に思えます。

・何か質問ありますか?と言われても、そうそう質問なんか思いつかないですよね。そりゃそうです。どんな風に聞けば、「分からないこと」「聞いておいた方がいいこと」を発掘出来るか、いつも考えています。その一方で、自分でも抜けていたことについてびしっと質問が来たりすると、おおっと思います。



と。

長々書いて参りました。これから新卒採用を控えている皆さまは、大変なこととは思いますが、体を壊さない程度に頑張って頂ければと思います。もし縁があって一緒に働くことになったらよろしくお願いします。


今日書きたいことはそれくらいです。


以下はかなり昔に書いた関連エントリー。


posted by しんざき at 22:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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