「時間は平等。お前が今そうなのは怠けていたからだ。自業自得だ。底辺を這いつくばって他人に迷惑をかけずに死ね。」
確かに流れる時間は同じだ。
しかし、恵まれた者と恵まれなかった者の時間の質が違いすぎるのだ。
環境にも遺伝にも恵まれなかったが、せめて、アトピーゾンビではなければ、痒みや痛み、寝れない、誹謗中傷などの邪魔する物は何もなく、前向きに意欲的に明るく楽しく将来に向けて頑張れた可能性があっただろう。
アトピーゾンビでなければ、虐めや体罰の記憶に脳を乱されることも無かっただろう。
アトピーゾンビでなければ、気絶しそうな痒みと痛みに耐え、薬を塗るなどに、無駄な時間を費やさずに済んだだろう。
物心ついたときから、人の数億倍努力してきた。おもにアトピーゾンビの治療や痒みに耐える努力だ。
アトピーゾンビの治療努力をどれだけしようと、なにも評価されず、容姿は気持ち悪がられ、ただ時間を浪費した怠け者としてしか扱われない。
名言集とか全部灰になれ。生まれつき強者側の理屈ばかりの駄本なんか廃れちまえばいい。
呪われているのではというほどの不幸の連続も、「さっさと死んでくれ」という世界の願いなのだろう。
みんな知ってる?
死んだら異世界に行けるんだよ!
そう、ロープが語りかけてくれる。
そうさ、アトピーゾンビは生まれ変わり、選ばれし勇者になるのだ。
容姿に恵まれ、健康に恵まれ、身体能力に恵まれ、知能に恵まれ、親に恵まれ、友達に恵まれ、恋人に恵まれたかっただけの現世だった。