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国連制裁決議 北朝鮮は孤立直視せよ

 北朝鮮は、自らが一層孤立の度合いを深めたことを自覚しなければならない。

     国連安全保障理事会が北朝鮮に対する制裁決議を採択した。5回目となる制裁決議で、その内容は今までより大幅に強化された。共同提案国は過去最高の53カ国に上った。

     北朝鮮産鉱物資源の輸入や、北朝鮮向けの航空燃料輸出が原則禁止となる。外貨獲得の主要な手段を北朝鮮から奪い、輸入に頼るしかない燃料を止める過去に例のない措置だ。

     さらに、北朝鮮を出入りするすべての貨物の検査を各国に義務付け、北朝鮮の銀行による他国への支店開設も禁止された。制裁逃れに関与した北朝鮮外交官は国外退去となる。

     金融制裁では、米国がマカオの銀行に科して北朝鮮の資金が凍結されたことがある。この時は、困った北朝鮮が解除を強く求めてきた。今回も同様の効果を期待したい。

     鍵となるのは中国の対応だ。北朝鮮の貿易は、南北間の取引を除けば約9割が中国とのものだ。中国による履行は欠かせない。

     アフリカや中南米を中心に関心の薄い国々が多いことも問題だ。放置すれば北朝鮮による制裁逃れを容易にしてしまう恐れがある。安保理決議の誠実な履行は国連加盟国としての義務である。

     北朝鮮の労働新聞は安保理での制裁論議に「弱小国ほど軍事力を強化するのに優先的に力を入れなければならない」と反論した。筋違いの主張と言わざるをえない。

     懸念されるのは、北朝鮮が想定外の行動に走ることだ。

     韓国では7日から来月末まで、米韓による史上最大規模の合同軍事演習が行われる。北朝鮮は強く反発しており、米韓への対抗措置を名目にさらなる挑発に及ぶ恐れがある。万全の備えが必要だ。

     北朝鮮は国際的圧迫を体制への脅威と受け止めている。だが、それは国際社会の平和と安定を害する自らの行動が招いた結果でしかない。

     ジュネーブではいま国連人権理事会が開かれている。今月中旬には、「人道に対する罪」を問われる可能性があると金正恩(キムジョンウン)第1書記に警告すべきだという報告書が討議される。北朝鮮の人権状況を非難する決議案も採択される見通しだ。

     北朝鮮は、人権問題での金第1書記の名指しを極端に嫌う。人権問題での圧迫も有効に使いたい。

     パワー米国連大使は安保理決議の採択後、「国民への基本的な物品供給より核・ミサイル開発を優先させている」と北朝鮮を批判した。制裁は、北朝鮮の一般国民を狙ったものではない。眼目は金第1書記に「痛み」を感じさせることである。

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