サンパウロ=田村剛
2016年3月4日23時01分
政治家と国営石油会社を巡る大規模な汚職事件を捜査しているブラジル連邦警察は4日朝、歴代大統領で最高の支持率を記録し、退任後も強い影響力を保ってきたルラ前大統領(70)の自宅に家宅捜索に入った。汚職に関与した疑いが持たれており、事情聴取のためその場でルラ氏を拘束した。現政権の支持率低迷や深刻な不況が続くなか、政治の混乱がさらに深まるのは必至だ。
一連の事件は、国営石油会社ペトロブラスを巡る汚職疑惑で、2014年に発覚。同社は取引先業者と水増し契約を繰り返し、政治家にも金が渡っていた。ブラジル史上最大の汚職スキャンダルとされる。連邦警察と検察の会見によると、一連の事件に絡んでルラ氏側が企業から金を受け取ったり、利益を供与されたりした疑いがあるという。
貧しい農家に生まれたルラ氏は02年、労働者や貧困層への手厚い政策を掲げて当選。10年まで2期にわたり大統領を務め、貧困対策や好調な経済に後押しされて、一時は8割の支持率を誇った。ルセフ政権に移行後も、大統領選への再出馬の可能性が取りざたされているが、汚職事件や経済の低迷で国民の間には与党・労働党への不満が高まっている。(サンパウロ=田村剛)
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朝日新聞国際報道部
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