中国:成長と改革のトレードオフが焦点に、全人代5日開幕
2016/03/04 12:09 JST
(ブルームバーグ):中国の指導者は全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の開幕を5日に控え、経済成長率目標の実現を生産能力や債務の抑制と調和させるよう求める圧力を受けている。
全人代は今年の経済成長率目標を設定し5カ年計画を策定するが、投資家の間では、景気の深刻な落ち込みを招かずに赤字経営の国有企業を閉鎖する方法や、昨年に国内総生産(GDP)比247%に膨らんだ債務の抑制策について詳細を打ち出すことが期待されている。
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは今週、中国の信用格付け見通しを「ネガティブ(弱含み)」とし、これまでの「ステーブル(安定的)」から引き下げた。債務負担急増に注目し政府の改革実行能力を疑問視したからだ。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁の先月の発言によって、同国の為替政策をめぐる投資家の不安は緩和されているが、同国指導部にとって全人代は、同国経済の先行きをめぐる疑念払拭(ふっしょく)を図る機会となる。
オックスフォード・エコノミクスのアジア担当チーフエコノミスト、ルイス・クイジス氏(香港在勤)は、「明確なメッセージが必要だ。政策はまだとてもあいまいで、成長と改革のトレードオフに関して非常に不明瞭だ。中国は改革に真剣なのか。それとも必要な改革を先送りし赤字企業を支援する中国を見続けることになるのか」と指摘した。
クイジス氏によると、2020年まで年平均6.5%以上とする経済成長率目標は成長支援の必要性の根拠となっているため、当局の行動の余地は限られるという。
李克強首相が5日行う政府活動報告では、人民銀が先週示唆した通り、「慎重な」金融政策スタンスを「やや緩和寄りの慎重な」姿勢にシフトすることが確認される公算が大きいと、ブルームバーグ・インテリジェンスのアジア担当チーフエコノミスト、トム・オーリック氏は予想する。
今年の財政赤字目標も設定される。朱光耀財政次官はGDP比で15年の2.3%から引き上げられると述べており、人民銀当局者は4%まで上昇させることが可能だと分析している。
原題:China Growth-Reform Conflict Center Stage at Annual Gathering(抜粋)
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更新日時: 2016/03/04 12:09 JST