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トランプ氏がお金持ちなのに庶民に見える理由

トランプ氏の快進撃が、予想に反して止まらない。さまざまな分析がなされているが、一つのポイントは、トランプ氏の発言が、米国民の多くにとって、「庶民的」と見られていることだと思う。これは一つのエニグマだ。

実際にはトランプ氏は、大富豪であり、エスタブリッシュメントである。ところが、エリート臭がしない。数々の失言も、どこかの酒場で庶民のおっさんがくだを巻いているようなものだと思えば、それほど突飛ではない。だから、自分たちの仲間だと思ってしまう。

ヒラリー・クリントンから感じられるのは本物の知性であり、教養である。ところが、米国民のあるひとたちは、そういうものは自分たちと関係がない、と感じるのだろう。それはワシントンのエリートたちの独善であると。

ここに、興味深い分析が生まれる。ひとびとが、「階層」を感じるのは、お金の問題だけでなく、「知性」や「教養」においてもそうなのだと。米大統領選挙においては、「知性」や「教養」は、大衆の支持を得る際に邪魔になっているのかもしれない。

もちろん、ワシントンやメディアのエリート、エスタブリッシュメントたちは、トランプ旋風にあわて、理解できないでいる。トランプ氏の言動は、支離滅裂だからだ。しかし、だからこそ、米国民の一部に支持されているのだというメカニズムを直視しなければならない。

実際の国政を担おうと思ったら、トランプ氏のやり方ではうまく行かないだろう。知性や教養を持つテクノクラートの協力がなければ政権運営はできない。気の早い話だが、もしトランプ氏が当選するようなことがあったら、その関係が鍵になるだろう。

現代においては、知性や教養に基づく「啓蒙主義」は、時に、階層的文脈でとらえられてしまう。これが、今回の米大統領選から学ぶべき教訓だろう。日本の政治だって、無縁ではない。民主主義は、そのような皮肉を、その体制の中に含むのである。

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