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【日米安保研究会報告書】
中国の動向にらみ不断の見直し必要 自衛隊と米軍の緊密な連携訴え
日米の著名な外交・安全保障の有識者らで構成する「日米安全保障研究会」が29日に発表した報告書は、2030年の国際情勢を見据え、日米同盟が直面する課題を分析し、対処する方策を示した。何より自衛隊と米軍の緊密な連携と、相互運用性の向上が欠かせない。昨年9月に成立した安全保障関連法によって集団的自衛権の行使に道を開き、抑止力を強めたが、いまも防衛法制の不備は指摘され、不断の検証と見直しが求められている。
報告書は「アジア太平洋地域の安全保障環境を決定する上で、最も不透明な要素の一つが中国の動向」と指摘し、中国が軍事費の増強と領有権拡大の動きを強めることはあっても弱める可能性は低いと分析する。中国は尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海空域で威嚇行為を繰り返し、南シナ海でも軍事拠点化を進め、一方的に緊張を高めている。
こうした中国の動向をにらみ、安倍晋三首相は、昨年4月に「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定に踏み切った。その後の安保関連法の成立と合わせ、日本の防衛法制は大きく進展した。ただ、ふさぎ切れていない安全保障上の「切れ目」はいくつも残されている。