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 防潮堤の高さの決め方について、専門家が集まる土木学会が見直し作業を進めている。被災地での巨大防潮堤建設が批判されたことから、まちづくりや景観を考慮し、コストと便益を比べ最適な高さをはじき出す方法に転換を図る。学会の提言が出れば、国土交通省も検討に入る予定だ。

 東日本大震災の大津波は各地で防潮堤を乗り越え、破壊した。震災後、▽数十年から百数十年に一度の津波(レベル1)は防潮堤で防ぐ▽今回のような最大クラスの津波(レベル2)は住民避難を軸にソフトとハードの組み合わせで被害を減らす、との考えが土木学会でうち出され、国の方針になった。

 これをもとに被災各県はレベル1の津波高を設定、それに応じた防潮堤復旧を進めてきた。だが防潮堤の高さは一部で震災前を大きく上回る10メートル以上となり、宮城の三陸沿岸を中心に各地で反対が起きている。