強力な制裁が決まった。その効果は、国際社会が忠実に実行するか否かにかかっている。

 4度目の核実験から2カ月。国連安保理がようやく北朝鮮への制裁決議を採択した。

 「この20年間で最も強力」と米国連大使は言う。安保理による制裁としては、90年代の湾岸戦争後のイラク制裁に次ぐような厳罰といえるだろう。

 先月には事実上の長距離ミサイル発射もあった。金正恩(キムジョンウン)政権は、国際社会の意思を試すかのように挑発を繰り返している。

 その行動パターンを改めさせるには、過去4回の決議を上回る制裁が必要だった。異例に長い交渉を続けた米国と中国が一致して、平壌に強く反省を求めた意味は重い。

 制裁は、核ミサイル開発と資金源を断つため、例外つきながら北朝鮮への航空燃料の輸出を禁じる。北朝鮮から天然資源を買うことも制限され、出入りする貨物の検査も盛られた。

 北朝鮮の貿易・金融の機会が絞られるため、市民生活への影響も避けられないが、現状のまま無謀な兵器開発を見過ごすことはできない。厳しい制裁強化はやむをえまい。

 今後の問題は、決議の中身がどれほど順守されるかだ。これまでの制裁も、実効性をめぐる疑問符がついて回った。

 カギを握るのは中国である。北朝鮮の中国への貿易依存度は約9割といわれるが、過去の制裁では中国が多くの「抜け穴」を用意していたとされる。

 中国の外相は先月に訪米した際、中朝関係が今後悪化するのはやむをえないとの見通しを示した。金正恩政権が痛みを感じてこその制裁だ。中国には何より具体的な行動を求めたい。

 安保理決議は、国連の全加盟国をしばる。だが、自国の北朝鮮制裁を一度も報告したことのない国が半分近くあるという。今回の採択を機に、加盟国の意識を高める必要があろう。

 一方、朝鮮半島問題の根本的な改善を探るには、制裁一辺倒では打開できない。中国の制裁履行と並行して、米国も、もっと北朝鮮問題に関与する行動をおこす必要がある。

 朝鮮半島の非核化と引きかえに、休戦状態のままの朝鮮戦争を正式に終わらせる。そのための米朝協議は、近年の歴代米国政権が取りくんだ課題だった。北朝鮮を対話の席につかせるには、平和協定をめぐる協議が避けられないのは事実だ。

 前途はなお多難だが、日米韓は中ロとの協調の幅を広げ、北朝鮮を国際社会に軟着陸させる道を模索していくしかない。