【シリコンバレー=兼松雄一郎】米労働省は米ベンチャーキャピタル(VC)、フェノックス・ベンチャー・キャピタルに、インターンシップ(就業体験)に参加する日本の若者など56人を無給で違法に働かせていたとして未払い給与約33万ドル(約3700万円)を支払うよう命じた。シリコンバレーには日本など海外からも無給でも経験を積みたいという若者が押し寄せている。彼らに将来の正規採用やビザ発給をちらつかせ、給与を払わずに長時間労働を強いる企業が後を絶たない。
労働の価値に見合った対価を支払うべきだとの考えが強い米国ではインターンも通常は有給だ。フェノックスでは、投資先の評価や主に日本にいる顧客への調査報告書の作成など付加価値の高い業務にインターンが携わっているにもかかわらず、最低賃金や時間外労働の対価を支払っていなかったことが違法と指摘された。
シリコンバレーでは、技術者の卵が高給でインターンをしている例も少なくない。無給のインターンが認められるのは、短期的な利益に直結しない研修や、正社員の業務を代替して正規雇用を減らすものではない場合などに限られている。
ただNPOでは無給のインターンが認められている。このため悪質な企業がNPOを介して業務をボランティア活動のように偽装する場合もある。