民主・みんな・結い・共産・生活・社民の野党6党は28日、「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」を共同で衆院に提出した。

 介護・障害福祉従事者は社会的に重要な役割を担っているにもかかわらず、その賃金は他の業種と比べて低い水準にある。同法案は、介護・障害福祉従事者の賃金を引き上げる事業者に対して、それに要する費用に充てるための助成金を都道府県知事が支給することを定めるもの。助成金の支給に要する費用は全額国が都道府県に交付する。支給要件や支給額などは政令で定めるが、法案提出者は平均1カ月当たり1万円賃金を上昇させることを想定している。

 筆頭提出者の民主党・中根康浩議員は、提出後の共同記者会見で「介護労働者の賃金は全産業平均と比べて最大で1カ月当たり10万円程度の開きがある。介護分野で働く人たちをこれから100万人程度増やしていかなければならないが、この低賃金を放置したままでは優秀な人材を確保することができない。働き方、労働の内容に見合った正当な評価をしっかり行っていくことが必要だ。今回税率を引き上げる消費税は、社会保障分野、将来に向けた安心をつくる分野にしっかりと投入することが大切で、それが国民の願いでもある。全力で成立に向けての取り組みを図っていきたい」と法案の趣旨と成立への意欲を述べた。

 衆院厚生労働委員会理事の民主党・山井和則議員は「安倍総理は賃金を引き上げるように民間企業に働きかけているが、なぜ自分の決断で上げられる介護や障害者福祉の分野は何もせずに放置するのか。消費税率が3パーセント上がれば、このままでは介護労働者などの賃金は実質的に引き下げになってしまう」「これは決して与野党の対決法案ではない」と話す。

 提出者らの説明では、6年前にも野党が同様の法案を共同提出したことがきっかけで衆院厚生労働委員長提出の議員立法として成立し、1年後には介護労働者等の月額賃金が2万4千円引き上げられるという成果を上げており、今回も与党に賛同を強く働きかける考え。

PDF「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案概要」介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案概要

PDF「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案要綱」介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案要綱

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共同で記者会見する提出者ら

共同で記者会見する提出者ら