連載第5回 これから起きる“内部被ばく”の真実を覆う、放射能の「安心神話」

無視できない“極めて不均一な”内部被ばく~細胞によって被ばく線量は大きく異なる!

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忘れてはならないエネルギーの問題

 さらにICRPの信者たちの中でまったく語られていないのがエネルギーの問題です。人体内の電気信号は5~7エレクトロンボルト(eV)の世界であり、医療用エックス線は100キロエレクトロンボルト(KeV)の高エネルギーの世界です。このエネルギーの違いも考慮しなければなりません。

 汚染水に大量に含まれているトリチウムについて、「トリチウムはエネルギー(平均5.7キロエレクトロンボルト)が低いので問題はない」と政府は弁明していますが、それでも人体の分子結合の1000倍以上のエネルギーです。ましてセシウム137だったら、662キロエレクトロンボルトという約10万倍のエネルギーなのですが。こうしたことは不問にされています。

 低線量の放射線の影響としては、バイスタンダー効果(照射された細胞の隣の細胞も損傷されることがある)や、ゲノムの不安定性(細胞およびその子孫内の継続的、長期的突然変異の増加)とか、ミニサテライト突然変異(遺伝で受け継いだ生殖細胞系のDNAが変化する)が生じることもわかっています。


西尾正道(にしお・まさみち)
北海道がんセンター名誉院長、北海道医薬専門学校学校長、厚生労働省北海道厚生局臨床研修審査専門官。
函館市生まれ。1974年札幌医科大学卒業。卒後、国立札幌病院・北海道地方がんセンター(現 独立行政法人国立病院機構 北海道がんセンター)で39年間がんの放射線治療に従事。2013年4月より北海道がんセンター名誉院長、北海道医薬専門学校学校長、北海道厚生局臨床研修審査専門員。著書に『がん医療と放射線治療』(エムイー振興協会)、『がんの放射線治療』(日本評論社)、『放射線治療医の本音‐がん患者2 万人と向き合って-』(NHK 出版)、『今、本当に受けたいがん治療』(エムイー振興協会)、『放射線健康障害の真実』(旬報社)、『正直ながんのはなし』(旬報社)、『被ばく列島』(小出裕章との共著、角川学芸出版)、『がんは放射線でここまで治る』(市民のためのがん治療の会)、その他、医学領域の専門学術著書・論文多数。

自分の口臭が気になる「心理的口臭症」は治療することができる!
インタビュー「日本初の口臭外来を開設。全国から7000人以上が受診する口臭治療のパイオニア」第2回 ほんだ歯科・本田俊一院長

口臭の本当の原因の探求と口臭症克服法の確立で口臭ケアの最先端を走るほんだ歯科・本田俊一院長。日本で初めて開設した「口臭外来」には全国から患者さんが殺到し、独自の口臭症治療法「ほんだ式口臭治療」を実践するクリニックのネットワークも広がりつつある。