Updated: Tokyo  2016/03/04 08:30  |  New York  2016/03/03 18:30  |  London  2016/03/03 23:30
 

スティグリッツ氏:格差問題が今年の米大統領選を読み解く鍵

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    (ブルームバーグ):2001年のノーベル経済学賞受賞者で米コロンビア大学教授のジョセフ・スティグリッツ氏は、今年の米大統領選の候補指名争いで何が起こっているのかを知るには、格差拡大をもたらしている経済情勢を理解する必要があるとの考えを示した。

スティグリッツ氏は2日、ロンドンで開かれたイベントで、「怒りを抱いているとされる人々はたくさんおり、彼らは自分たちの状況があまり良くないことにようやく気付いた」と指摘。「こうした人々は自分たちの両親、場合によっては祖父母よりもうまくいっていない」と説明した。

米経済は成長が続き、失業率は2008年以来の低水準に改善したが、金融危機以降の回復が社会の隅々まで実感されるには至っていない。二分化する政治シーンの下で、そうした実態がポピュリストの候補が多くの支持を集める要因となっている。

共和党の候補指名争いでリードするドナルド・トランプ氏は、選挙民の経済的不満をばねに米国への移民抑制や中国からの輸入に対する高関税賦課をうたい、民主党候補指名を競うヒラリー・クリントン前国務長官とバーニー・サンダース上院議員は共に所得格差の問題をキャンペーンの中核に据えている。

米経済は機能不全

スティグリッツ氏は米国民は持ち家から追い出される人々がいる一方、金融危機について責任を取らされたバンカーは皆無という「不公正を多く目にしてきた」とし、「それが各層の怒りを招いた」と語った。

同氏によれば、米景気回復の最初の3年間を見ると、所得増加の91%は上位1%の階層が享受。一方で、インフレ調整後の最低賃金は60年前よりも少ない。

スティグリッツ氏は「米経済は機能不全に陥り、21世紀の経済のルールを書き直す必要がある」と発言。それがクリントン氏のキャンペーンの焦点であり、低所得者がトランプ氏を支持していることを考えれば、同氏が社会保障の削減に動く公算は小さいと話した。

他方、共和党候補指名レースでトランプ氏のライバルの1人であるテッド・クルーズ上院議員については、社会保障とヘルスケアへのアクセスをめぐって「対決姿勢で臨む公算が大きい」と述べた。

原題:Inequality Is Shaping U.S. Electoral Politics, Stiglitz Says(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Jill Ward jward98@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Fergal O'Brien fobrien@bloomberg.net

更新日時: 2016/03/03 12:08 JST

 
 
 
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