G20が出した結論
いったい中国はどうなるのか。いま世界中の企業や家計がこの1点を心配している。ところが、先に開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の結論はあいまいで、矛盾を孕んだ態度に終始した。あらためて問題の核心に迫ろう。
マスコミは「中国についてG20がどんな姿勢を示すかが焦点」と連日のように事前報道した。ところが、会議の後の報道ぶりを一言で言えば「結論はよく分からない」だった。
たとえば、2月28日付の朝日新聞は「G20『政策を総動員』 共同声明採択 市場安定化図る」という見出しを掲げて「G20の合意が市場の安定化につながるかは見通せない」と書いた。なんのことはない「どうなるか、分かりません」という記事である。
G20の声明には、景気回復のために「すべての政策手段(金融、財政および構造政策)を個別にまた総合的に用いる」と書いてある(http://www.mof.go.jp/international_policy/convention/g20/g20_160227.htm)。だがそれは、何もいまさら大げさに言わなくても、当たり前の話にすぎない。
あえて書き込んだのは、マスコミ向けに「見出しになるような文言を加えたほうがインパクトがある」と大臣たちが考えたからだろう。マスコミがそれに調子を合わせて、上っ面の言葉を見出しにするようでは、なめられたも同然だ。肝心なのは政策の中身である。
ちなみに「金融、財政および構造政策」というのは「アベノミクス3本の矢」でもある。ということは、アベノミクスは経済政策の世界標準を並べてみせただけで、安倍晋三首相のオリジナルでもなんでもない。
それを「アベノミクス」というキャッチフレーズに包んで、印象深く打ち出しただけだ。いわば当たり前の政策なのに、マスコミはあたかも新しい政策パッケージであるかのように報じてきた。言葉と中身の虚実をマスコミはきちんと分かっているのだろうか。
本論に戻す。G20が打ち出した政策の中身を見ると、目新しさはほとんどない。機動的な財政政策と緊密な為替協議、通貨の切り下げ競争回避、それに資本流出の監視強化である。あえて言えば、資本規制の検討が加わった程度だ。
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