元看護師が語るうつ病を発症しやすい人の気質・生活習慣とは
「うつ」の危険因子を知る
「うつ」の危険因子には、遺伝的なものもありますが、あくまで1つの可能性。育ってきた環境や生活上のさまざまな出来事などにより、「うつ病を発症しやすい気質」があります。ここで、まずはあなたがどれだけの危険因子を持っているか、チェックしてみましょう。
1、自分の性格は、仕事熱心、凝り性、完璧主義、正直、几帳面などが当てはまる
2、自分は、秩序や調和を重んじる、人と争うのを好まない方
3、仕事でもプライベートでも、人に頼まれると断れない
4、他人への依存心が強く、物事に失敗すると、自分以外のところに原因を探す
5、物事が思い通りに進まないとイライラする
これらはいずれも、「うつ病を発症しやすい気質」であるといわれています。また、女性の方がハイリスクであることも分かっています。
フリーランスが陥りやすい「うつ」とは?
では、フリーランスの生活と「うつ」の危険因子について考えてみましょう。フリーランスになったことで、生活パターンが変わった人も多いと思います。次のうち、あなたの生活の変化は、いくつありますか?
さて、いくつ当てはまったでしょうか? 実はこれらの全てが「うつ」に関わるといわれています。当てはまるものが多ければ多いほど、「うつ」を発症する危険性も高まっていくといわれています。
睡眠障害と「うつ」との関係
日本で行われたある研究では、女性は「睡眠と覚醒のリズムが乱れること」、男性では「日中の眠気と入眠困難」が、うつ病の発症と有意に関係していることが示唆されました。
また別の研究では、非うつ群よりも、うつ群のほうが、夜間に蛍光灯などの光を多く浴びていたという結果が出ています。
運動不足と「うつ」との関係
カナダで行なわれたある研究では、どのようなレベルであれ、毎日少しずつの運動をすることが、将来のうつ病予防に有効であることが示唆されました。
つまり、まったく運動をしない人と、毎日少しでも運動をする人は、前者の方がうつに陥りやすい、ということです。
他人との会話と「うつ」との関係
人は誰でも「誰かに話を聞いてもらう」ことで、自己を表現し、自分を成長させて問題を解決する、と考えられています。うつ病患者に行なわれるカウンセリングでも使われる手法です。
人とのコミュニケーションを楽しみ、共感を得ることで精神のバランスを保つことができるといえるのです。
不当な評価と「うつ」との関係
自分の仕事に対する評価は、そのままストレスにつながります。特にフリーランスの場合、納品物の良し悪しのみが評価の基準。その作業にどれだけの時間と労力をかけたかは、全くといっていいほど評価されません。
苦労して作り上げたのに、バッサリと酷評されてしまう……なんてことも。こういったことが続くと、やはり「うつ」発症の引き金になってしまうと考えられます。
その他、「不健康な食生活がうつ発症と関係する」、あるいは「インターネット依存度が高いほどうつになりやすい」という研究結果もあります。
「うつ病」になるその前に
現在のところ、「フリーランスとうつ」の関係を示した研究結果はありません。しかし、フリーランスになると、それまでに以上に気をつけていなければ、あっという間に運動不足や乱れた食生活に陥ることでしょう。
また、誰とも話をしない日や、頑張りと収入が比例しないことが続けば、「うつ」になりやすい状況に、簡単に陥ります。
ここで重要なのは、「うつは自分よりも周りの人が先に気づく」ということです。「うつ状態」から抜け出せずにある程度の時間が経過すると、そのまま「うつ病」を発症するといわれています。これは他の生活習慣病とも共通しますが、早期発見・早期治療が重要なのです。
しかし「うつ」になっている時は、自分自身でおかしいことに気づきません。実は「うつ状態」なのに、締め切り前だから無理をして仕事をし、さらに悪化するということも少なくないでしょう。
一人で仕事をするということは、こういった変化を誰にも気づかれず、知らないうちにどんどん悪化する危険性を秘めているのです。
実際に私が関わった方で、「探さないで下さい」というメッセージを残して居なくなった人を知っています。あまりに連絡がつかないので部屋を訪ねてみると、「部屋の隅で小さくなって座り込んでいた人」もいました。
軽い「うつ」状態は、誰にでもあります。それを招いてしまう因子も、誰でも持ち合わせているものかもしれません。これを上手くコントロールし、早めに「うつ状態」から脱却することが重要なのです。
フリーランスとして長く活躍したいのであれば、こういった危険因子を多く持ち合わせる可能性が高いことを自覚することが必要です。特に【フリーランスにありがちな生活】については、時々セルフチェックし、当てはまる事柄が少なくなる生活を心がけるようにしてください。