経団連の榊原定征会長は3日の宮崎市での記者会見で、来年4月に予定する消費税率の10%への引き上げについて「社会保障の安定と財政健全化のため絶対に必要だ。予定通り行うべきだ」と強調した。年明け以降の市場の動揺は「たまたまマネーが大きく動いているだけの過剰反応」などと指摘したうえで「増税延期の理由にはならない」と語った。
10%への引き上げに向けた環境整備として榊原氏は「増税に耐えられる日本経済の底力をつけていく必要がある」とし、中長期的には成長戦略の実行、短期的には一定程度の財政出動を伴った消費喚起策が必要だと訴えた。「8%への引き上げ時のように、駆け込み需要と反動減があってはならない」と続けた。
環太平洋経済連携協定(TPP)を巡っては、米大統領選の有力候補が軒並み慎重・反対姿勢を示していることに懸念を示した。「選挙を意識した発言も多いだろうが、(今のままだと早期批准は)非常に難しい状況だ」と指摘。米経済界などを通じて働きかけを強める考えを示した。