(cache) サーチナ|中国軍機関紙が「三国志・劉備」を批判 党・軍内の派閥・分派問題の深刻さ反映か 




中国軍機関紙が「三国志・劉備」を批判 党・軍内の派閥・分派問題の深刻さ反映か


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 中国人民解放軍機関紙の解放軍報は3日付で、「小サークル主義の害は果てしない」と題する論説を掲載した。三国志演義の劉備、関羽、張飛の3人を「小サークル主義を貫いたので、呉や魏と比べて最も失敗した政治集団になった」と批判した。  論説は、劉備、関羽、張飛が生死をともにする義兄弟になると宣言した「桃園の誓い」を、「しばしば人を感動させるシーン」とした上で、劉備の政治勢力内において、長期に渡って頑なに継続した「小サークル」が形成されることになったと主張。  結果として、張飛に失敗や粗暴なふるまいがあっても責任を追及せず、曹操に恩義を感じていた関羽が、赤壁の戦いで敗走する曹操に遭遇しても、敢えて見逃すという、曹操打倒という最終目的に背く「原理原則上の過ち」をおかしても不問としたなど、劉備グループはさまざまな失敗を繰り返すことになったと指摘。  さらに「小サークル」の問題点として、排他性が強いため、外部の人間に対する信任に限界が出ると指摘。劉備に対して「無限の忠義心」を示した趙雲は例外的に信頼されたが、張飛が嫉妬するなども問題も出た。さらに、極めて尊重された諸葛亮(孔明)も「小サークル」の人物ではなかったため、意見を取り入れずに失敗したと論じた。  論説は、蜀漢には中核に劉備、関羽、張飛の「小グループ」が存在し、その外に趙雲や諸葛亮、さらにその外に黄忠、馬超と、同心円状の「グループ階層」が存在し、さらにその外は「サークル外」の人物とみなされたと主張。後になり魏延のような大きな問題を持つ人物が出てくるのも、「小サークル」主義がもたらした弊害と論じた。  論説は最後の部分で、「桃園の誓い」からは教訓を汲み取らねばならないと主張。中国共産党の習近平総書記(国家主席)は何度も、「党内には封建的な頼り合いがあってはならない。小サークルを作ってはならない」と強調していると指摘し、「小サークルは現在も一部の職場や部門に、程度は違えども存在する」と警告した。 ********** ◆解説◆  習近平主席は政権の座を得てから現在まで「分派活動の禁止」にしばしば言及している。習主席が強力な指導力を得ることを渇望していることは間違いないが、抵抗勢力も相当に大きい可能性がある。  中国では「歴史的な文芸作品」に対する批判や評論が、大きな政治的動きの予兆である場合がある。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)