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「爆買い」案内で報酬 不法就労罪で略式命令
3月3日 12時26分

「爆買い」案内で報酬 不法就労罪で略式命令
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就労資格がないのに、いわゆる「爆買い」で来日した中国人観光客らを免税店に案内して報酬を得ていたとして、中国人のガイド役が不法就労の罪で略式命令を受け国外退去処分になりました。警察は同じようにガイド役をしていた中国人留学生を書類送検したほか、2人を使っていた中国系旅行代理店の役員らを不法就労助長の疑いで書類送検しました。
国外退去処分になったのは、中国人の31歳の女です。また同じようにガイド役をしていた中国人留学生の25歳の男と、2人を使っていた中国系の旅行代理店と免税店の運営会社、合わせて6社の役員らも書類送検されました。
警察によりますと、このうち、中国人の女は就労資格のないビザで日本に滞在し、去年5月から11月にかけていわゆる「爆買い」で来日した中国人観光客らを福岡県などの免税店に案内し報酬を得ていたとして、先月、不法就労の罪で裁判所から罰金の略式命令を受けていました。
警察によりますと、この中国人と書類送検された留学生はボランティアの名目でガイド役をしていましたが、2人の口座には免税店から合わせておよそ7500万円が入金されていたということで、警察は報酬に当たると判断しました。2人は、旅行代理店に委託されてガイド役をしていたということで、警察は、旅行代理店と免税店の運営会社の役員らも不法就労助長の疑いで書類送検しました。
警察によりますと、調べに対し、中国人2人と旅行代理店の3人それに免税店の1人は容疑を認め、ほかの免税店の2人は容疑を否認、または一部を否認しているということです。
観光庁によりますと、「爆買い」を巡っては、ガイドとしての必要な国家資格をもたない中国人などが高額の商品を買わせようとしたり、不正確な観光案内をしたりして、観光客から苦情が寄せられているということです。

中国人観光客のガイドに対する苦情目立つ

免税店での買い物を巡って、観光庁には中国人観光客からの苦情が寄せられています。
観光庁は、日本を訪れる中国人の増加を受けて、6年前から中国語のホームページで意見を募っています。最近は免税店での買い物について観光客からの苦情が増え、去年はおよそ50件寄せられたということです。
このなかでは「ガイドが日本の商品のすばらしさを宣伝し、5万円近い健康食品を勧めてきたが、宣伝のような効果はなく返品にも応じてくれない」「ガイドにだまされた」など、ガイドに対する苦情が目立っています。
観光庁国際観光課の佐藤久泰外客誘致室長は「日本を楽しんでほしいと思っているなかで、外国人を食い物にするような商売が行われているのが事実であれば、非常に残念だし、日本の観光そのものの質の低下にもつながる。現状を把握したうえで、早急に対策をとる必要がある」と話しています。

免税店から無資格で報酬か

外国人観光客を相手にガイドをして旅行会社などから報酬を得るには、「通訳案内士」という国家資格が必要です。そうしたガイドの団体、全日本通訳案内士連盟によりますと、資格を持つ正規のガイドの場合、ツアーの案内をして旅行会社から受け取る報酬は1日当たり3万円から4万円程度です。
しかし、「爆買い」ツアーでは、旅行代金の値下げ競争が激しいことなどから、旅行会社は、ボランティアの名目で資格を持たない中国人を無償で使うケースがほとんどだということです。そうした無資格のガイド役が、旅行会社から報酬を受け取らない代わりに、免税店から売り上げの一部を受け取っているということです。無資格のガイド役は、日本についての誤った知識をもとに観光地などを案内するケースもあり、「通訳案内士」の団体では、日本のイメージを悪化させるおそれがあると指摘しています。
数年前まで、「通訳案内士」の国家資格を持たずに、中国人観光客相手のガイド役をしていたという男性は「日本製の商品はかなりの信用があり、ツアー客はそれを信じて日本を訪れて買い物をしている。一部のガイド役はその立場を悪用し、作り話も交えながら高額の商品を買わせている。1つのツアーで100万円とか200万円を稼ぐガイドもいた」と話しています。
全日本通訳案内士連盟の黒崎豊子常務理事は「正規のガイドが仕事を奪われる状況が続いている。4年後の東京オリンピックに向けて、日本をしっかりと案内できるガイドの育成が急務だが、このままでは若い通訳案内士の仕事がなく、後継者が育たないのではと危惧している」と話しています。

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