広島校・ブログ

インターリーブ~数学の理解

数学 黒板

こんにちは!今までにない1対1の個別管理の武田塾広島校です。

今回は、インターリーブが数学の理解を深めるということを書きます。

アメリカは技術革新や新たな技術の発見をリードしてきましたが、
数学教育に関しては長きにわたって後れをとっています。
中学2年生を対象にした世界ランキングで、9位か10位あたりを
うろうろしています。韓国やフィンランドよりもずっと下です。
専門家や役員はその差を埋める方法について絶えず議論をしていて、
1980年代後半には、全国の数学教師による権威ある組織
「全米数学教師協議会」が優秀な教育者を集めた会議を招集し、
数学の授業の見直しと改革を求めました。
それは壮大な仕事であり、規模の大きな仕事にありがちなように
激しい論争が起きました。

論争の中心となったのは、教え方の方針についてでした。
生徒がもっとも効率よく学べる授業は、
因数分解や二次方程式といった問題を解くテクニックを重視した
ものなのか。それとも、「2/3+3/5」を見たときに、通分しなくても
1より大きいとわかるような、推論や数の観念といった論理的思考の
習得を重視したほうがいいのか?
別の言い方をするなら、前者はボトムアップのアプローチ、
後者はトップダウン方式のアプローチです。

教育についての論争は、すぐさま政権争いの様相を呈しました。
トップダウン陣営は「進歩派」です。
彼らは丸暗記した解法を練習するのではなく、
子供たちに自らの力で考えさせたがりました(この集団には、
若手教師や教育学の博士号を持つ大学教授が多数含まれていました)。

ボトムアップ陣営は「保守派」で、基礎の構築にドリルを使う
昔ながらのやり方を重んじました(この集団の中核を担うのは、
年配の教師、そして数学や工学の教授でした)。

この数学論争は、多くの教師に混乱を招きました。
当時は数学教育に関するまともな調査は皆無に等しく、
どちらの陣営も論争に勝てる武器を持っていませんでした。
学校教育の研究というと、学者や外部の専門家が教室や学校に
やって来て、数学や歴史や作文の斬新なカリキュラムを押しつけ、
「改善された」と宣言して終わるのが一般的でした。
カリキュラムが変わると効果の測定方法も変わることが多かったため、
現場の教師たちには何が改善されたのかよくわかりませんでした。
また、カリキュラムの実施状況が追跡されることもほとんどなかった
のです。
当時からいまに至るまで、教師は生まれては消えていくアプローチを
たくさん見てきました。だから、多くの教師が、新たなアプローチと
聞くだけで懐疑的になるようになりました。

それに、この数学論争の争点は「教育方針」でした。
数学はもちろん、学校で教える科目はすべて、
理論ではなく結果がものを言います。

「ずっと不思議に思っていたことがありました。
新しく生徒を受け持つと、小テスト(毎週もしくは隔週に行う
復習テスト)はよくできるのに、同じ内容の総合テストで
ひどい点数をとる子が多いのです」
1980年代後半にカリフォルニア州パロアルトで
高校の数学教師をしていたダグ・ローラーはこう話しました。
「その子たちから、テストが悪い、いえ、私が悪いとあからさまに
責められました。私がずるい問題を出すから点数がとれない、
というのが彼らの言い分です」。
総合テストの問題を彼らがずるいと感じる理由を、
ローラーはこう説明しました。
数学の場合、問題を解くのに使う解法を自分で選ばないと
いけません。解法の使い方を知っているだけでは十分でないのです。
さまざまな種類の問題を網羅したテストになると、
その選択は難しくなります。
教えている現場でのこのような問題に、
識者間の論争は無関係でした。

ローラーは違うカリキュラムを作ろうかと考えました。
項目ごとに1つのまとまりとして教えるやり方
(2週間は比率だけを学び、次の2週間はグラフだけを
学ぶというやり方)を捨て、
過去に学習したことも日々の宿題に混ぜるのです。
そうすれば、生徒は無条件に解法を適用するのではなく、
問題に応じて解法を選ぶことを学ばざるを得なくなります。
問題を解くためには、まず、それがどんな種類の問題かを
特定する必要があるからです。

ローラーは、自分でさまざまな種類の問題を混ぜた教科書を
書こうと考えました。
しかし、その後すぐに、彼はそういう教科書がすでにあることを
知りました。

その教科書を書いたのは、空軍将校を引退した後、
オクラホマシティで数学教師になった男性です。
1970年代、ローズ州立カレッジで数学を教えていた
ジョン・H・サクソンは、しだいにカレッジで使う教科書に
腹が立つようになりました。
教科書に従って授業を進めると、基礎があやふやなまま
学生が置いてきぼりになってしまうのです。
それに、授業で学んだことも学生はすぐに忘れました。
そこで、サクソンは自分で問題一式を作ることにし、
これまでのカリキュラムよりも代数を解くスキルの向上を
目指しました。すると、学生の成績は急速に向上し、
彼は数学の授業プラン全体を見直しました。

1980年から1990年にかけて、サクソンは
幼稚園から高校生までを対象とした数学の教科書を
12冊(共著を含む)、大学生向けの教科書を2冊書きました。
そして練習問題には必ず、過去の章で習った問題だけでなく、
これを使う新しい解き方が必要となる問題をいくつか含めました。
たとえば、xを使った方程式を習ったなら、連立方程式の問題も
含めるという具合です。
なぜそうしたかというと、そのほうが新しい解き方の理解が
深まると思っているからです。
知っている解き方とあわせて新しい解き方を学べば、
それと同時に抽象的な概念がわかるようになってきます。

サクソンが書いた教科書はファンを生みました。
その多くは私立学校の生徒と自宅学習者で、
公立学校の生徒のなかにもいました。
そうした状況になるとすぐ、サクソンは数学の教育方針を
めぐる論争の矢面に立たされました。
彼はボトムアップのやり方を支持していました。
進歩派の考え方は危険だと考えていたため、
進歩派の仕返しに遭ったのです。

ローラーは、論争で自分がどちら側なのか
よくわかりませんでした。
そういう意味では、サクソンについてもとくに思うことは
なかったのです。
彼は、サクソンの書いた教科書を手にとって中を見たときの
ことをいまでもはっきりと覚えているといいます。
これは確かにほかの教科書とは違う。
しかし、その教科書でやる授業は、ローラーにとっては
論理的な順序になっていなかったのです。
とはいえ、あらゆる種類の問題が混ざっていました。
さまざまなことを混ぜるやり方は、まさにローラーが
生徒のためになると思っているやり方です。

ローラーは教科書を書くことをやめました。
それどころか、数学教師もやめてしまい、
大学院に入学して実験心理学を学びました。
そして、大学院を修了して8年が過ぎた2002年、
彼は再び学習について考えるようになりました。
それには、シュミットとビョークが1992年に発表した
運動と言語の学習に関する論文を読んだことが関係していました。
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インターリーブ~反復学習の落とし穴③

それを読んだ後、
ローラーは高校で数学を教えていたときに抱えていた
問題を振り返りました。
当時の生徒は、覚えていることが足りなかったわけではない。
彼らの弱点は、問題の種類を判別し、適切な解法を選ぶ部分だ。
そしてそのとき彼は、問題の種類を混ぜて出題すれば、その弱点に
対処できるかもしれないと考えていた(当時の彼はまだ、
インターリーブという言葉を知りませんでした)。


それから、ローラーをはじめとする研究者たちは、
インターリーブが数学の理解を全面的に深めることを
さまざまな実験を通じて証明していきました。

2007年、ローラーはサウスフロリダ大学の同僚
ケリー・テイラーとともに、24人の小学4年生を
対象にある実験を行いました。
2人は、24人の小学生1人1人に対し、
底面の角の数に応じて、角柱の面、辺、角、角度の数を
算出する方法を教えました。
その授業は、図を見れば誰にでも完璧にわかるものでした。

24人のうち半分は、
ブロック学習で勉強させました。
彼らはまず、「面の数」を求める問題を8問、
その後30秒の休憩を挟んで「辺の数」を求める問題を8問、
また30秒の休憩後に「角の数」の問題を8問、
30秒の休憩後「角度の数」の問題を8問というように、
続けて問題を解きました。

残り半分の子供たちは、解く問題の数と休憩時間は同じですが、
問題の種類をランダムに混ぜました。
たとえば、最初は「面、角、辺、角度、辺、角、面、角度」
の順で8問解き、30秒の休憩後は「角、角度、角度、辺、
面、辺、角、面」の順で8問解くという具合です。
どちらのグループにもまったく同じことを言い、
まったく同じ問題を解かせました。
違いはただ1つ、同じ種類の問題を続けて解くか、
ランダムに解くかでした。
翌日、子供たちに4種類すべてを1問ずつ出題する
テストをしました。
もちろん、問題を混ぜた(インターリーブを
適用した)グループのほうがよい結果になりました。
しかもその差は歴然で、インターリーブを適用した
ランダムに解いたグループが77%正解したのに対し、
もう一方のグループの正解率は38%でした。

テストが寄せ集めならば、宿題も同じにすればいい。
寄せ集めの勉強は、単に種類の異なる問題を解くだけでは
ないのです。問題の種類を混ぜて勉強すると、
問題の種類を特定すると同時に、それに適した解法を
見つけないといけなくなります。
問題と対になる解き方や概念を見つけるのは難しい。
数学にはその苦労がついてまわる
ローラーとテイラーはこう結論づけました。
たとえば、文章題が難しいとよく言われる一因は、
どの公式や概念を使えばいいのかが明示されていない
ことにある。『虫が東に20センチ進み、その後北へ
40センチ進むと、スタート地点からどれだけ進む
ことになりますか?』という問題の場合、
ピタゴラスの定理を使って解くのだと推測する力が
求められます。しかし、ピタゴラスの定理の知識を
明らかに要求する設問群のすぐ後にこの文章題が
現れれば、推測の必要がなくなります。
つまり、同じ種類の問題を続けて解く練習は、
文章題の教育的価値を大きく下げることになるのです。

ローラーは次のような言い方もしています。
宿題のいちばん上に『二次方程式』と書いてあれば、
何も考えずにそれを使う。問題に適した解法が何かを
考える必要はない。解く前からわかっているのだから








 

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