【ニューヨーク=水野哲也】国連安全保障理事会は2日午前(日本時間3日未明)、北朝鮮による4回目の核実験と事実上の長距離弾道ミサイル発射を受けた新たな制裁決議を全会一致で採択した。

 貨物検査の強化や北朝鮮産の鉱物資源の輸出禁止を盛り込み、従来の制裁を大幅に強化する内容だ。

 北朝鮮の核実験やミサイル発射を受けた安保理制裁決議は5回目となる。

 今回の決議は、〈1〉北朝鮮に出入りする全貨物の検査を義務化〈2〉北朝鮮による鉱物資源の輸出を禁止し、資金源を遮断〈3〉国際的な金融取引を遮断――が柱だ。

 貨物検査について、これまでの決議は「禁輸品積載の疑いがある場合」を実施の条件としていたが、今回は北朝鮮のすべての貨物を各国が空港や港で検査することを義務づけ、違法取引の監視を強化した。鉱物資源については、金やチタン、レアアースの北朝鮮からの輸出を全面的に禁じ、北朝鮮の主要輸出品となっている石炭や鉄鉱石についても大幅に規制した。航空用燃料の北朝鮮への輸出も禁止した。

 金融制裁では、北朝鮮の銀行が他国に支店を開設したり、他国の銀行が北朝鮮に支店を開設したりすることを禁じた。このほか、決議違反行為に関与した北朝鮮外交官の国外退去や、武器取引の全面禁止も盛り込んだ。

 米国のパワー国連大使は決議採択後、「北朝鮮による核ミサイル能力の向上は地域だけでなく、世界への脅威だ。北朝鮮は21世紀に核実験を行った唯一の国だ」と意義を強調。日本の吉川元偉もとひで国連大使は「北朝鮮は、この決議が、安保理だけでなく、国際社会全体からのメッセージだと受け止めるべきだ」と述べた上で、「今日の決議は終わりではなく始まりだ。我々はこの決議に盛り込まれた措置を完全に履行しなければならない」として、加盟国に決議順守を呼び掛けた。

 安保理は1月6日の核実験を受け、新たな制裁決議を採択することで合意。度重なる決議違反を受け、米国はこれまでにない強力な制裁を要求した。北朝鮮に最も大きな影響力を持つ中国は、北朝鮮の暴発を懸念して国民生活に影響が及ぶ制裁には慎重で、協議は長期化した。最終的に両国は合意し、「包括的で強力かつ前例のない制裁」(パワー国連大使)となった。