【コラム】三・一節、また増えた慰安婦少女像

 ところが「合意」後、韓国政府は「原則論」から後退し、慰安婦関連事業も足踏みしている。外交というものは、裏で多くのことがなされるものなので、「合意」プロセスの隠れた背景を細かく知ることはできない。だが、韓米日の協力強化を望む米国の圧力に背中を押されたのだろうと推し量ることくらいはできる。もっと複雑にこじれているのかもしれない。一方日本は「不可逆的合意」だと言って回り、国連でも「強制動員の証拠はない」という妄言を続けている。「不可逆的」という枠組みに韓国を押し込め、勝手に行動している。

 慰安婦ドキュメンタリーの放送を目前にした時点で、2人の元慰安婦が世を去った。今や、生存者は44人。日本は「時間はこちらの味方」と思っているのかもしれない。しかし時がたつのを待ち、少女像の撤去に力を入れれば入れるほど、少女像や記念碑は増えている。三・一節に合わせて、釜山ではまた一つの少女像が追加された。歴史的事実は、覆すことも変えることもできない。韓日慰安婦合意が、過去を越えて未来を開こうとするものならば、日本は「不可逆的合意」うんぬんより「不可逆的真実」の方に向き合うべきだ。番組で取り上げた「心に刺さっているかぎり、忘れることはできない」という元慰安婦の絶叫、その恨(ハン。晴らせない無念の思い)に満ちた記憶こそ「不可逆的」なのだ。

 テレビ朝鮮のドキュメンタリーは、日本が「軍慰安所」を「料理店」と表記した公文書も公開した。当時から「反人倫犯罪」だと分かっていたので隠した、ということを意味している。「不可逆的合意」だと務めて強調すること自体、不可逆的解決になり得ないことを自ら理解しているからなのだろう。

テレビ朝鮮=イ・ジンドン編集第1部長
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