西日本新聞社

弥生時代の国内最古級すずり出土 倭人伝の記述裏付け 糸島市 [福岡県]

2016年03月01日19時54分 (更新 03月02日 02時07分)
三雲・井原遺跡から出土したすずりの破片

三雲・井原遺跡から出土したすずりの破片

 福岡県糸島市教育委員会は1日、同市の三雲・井原(いわら)遺跡で、弥生時代後期(1~2世紀)のものとみられるすずりの破片が出土したと発表した。同遺跡は3世紀の中国の史書「魏志倭人伝」に登場する伊都国の王都があったとされ、中国の前漢時代から朝鮮半島北部に置かれた楽浪郡製と同形式の土器も多数出土している。倭人伝には、伊都国に滞在した楽浪郡の使節が外交文書などを取り扱ったとの記述もあり、これを裏付ける発見として注目される。

 出土したすずりの破片は灰色の石製で、長さ6センチ、幅4・3センチ、厚さ0・6センチ。中国・漢代に普及し、台に固定して用いられた長方形のすずりの一部とみられる。表側には実際に使われたようなくぼみが確認された。弥生時代のすずりの発見は松江市の田和山遺跡に次いで国内2例目。

 倭人伝は伊都国に派遣された楽浪郡からの使者について「津に臨みて捜露(そうろ)(検閲)し、文書・賜遺(しい)の物(たまわりもの)を伝送して」と、伊都国沿岸部で品物の検査や文書の伝達などを行っていたと記述している。三雲・井原遺跡では、楽浪系土器も50点以上出土しており、糸島市教委は「楽浪郡や中国との間で交わされる外交文書などが伊都国で作られた可能性が高まった」としている。

 田和山遺跡のすずりも調査した九州大の西谷正名誉教授(東アジア考古学)は、同遺跡では楽浪系土器が出土しておらず、すずりも実用品ではなく宝物として扱われた可能性があることを指摘。三雲・井原遺跡のすずりについて「日本における文字文化が、弥生時代に伊都国で始まった可能性が高いことを示す発見ではないか」と話している。

 糸島市教委は5日午後2時から現地説明会を開催する。市教委文化課=092(332)2093。

【ワードBOX】三雲・井原遺跡

 伊都国の王都とされる弥生時代から古墳時代にかけての集落・墳墓遺跡。福岡県糸島市東部の瑞梅寺川と川原川に挟まれた地域に位置する。三雲南小路王墓や井原鑓溝(やりみぞ)王墓で約80点もの銅鏡が見つかったほか、今回のすずりが見つかった三雲番上地区ではこれまでも数十点の楽浪系土器が出土していた。江戸時代の福岡藩の国学者、青柳種信が出土遺物の記録を残した。

=2016/03/02付 西日本新聞朝刊=

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