【巨人】大田、豪快決勝3ラン!5回0封の大谷から主役奪った
◆オープン戦 日本ハム3―6巨人(2日・札幌ドーム)
由伸巨人がオープン戦初の逆転勝利で4連勝を決めた。2点を追う9回2死満塁から立岡の右前2点適時打で同点とすると、続く大田が勝ち越しの特大3ランを左翼スタンドにたたき込んだ。日本ハム先発の大谷は、自己最速へあと1キロに迫るMAX162キロの剛球を主体に、G打線を5回まで散発2安打で0封。北の大地が大谷劇場で幕を閉じるのを、大田が一振りで阻止した。
豪快な打球音が響いた。最高の感触に、大田はバットを放り投げた。白球はまるでゴルフボールのように左翼後方へ一直線。広い札幌Dのスタンド中段にライナーで突き刺さった。同点の9回2死一、三塁。1ボールから鍵谷の直球をとらえて勝ち越し3ラン。「芯に当たってくれた。いい結果になって良かった」。途中出場から2打席目。持ち味の一発で試合を決め、一気に主役に躍り出た。
1打席にかける思いが実った。1日の日本ハム戦前、宿舎で相手先発・バースをネットのサイトや動画を駆使して徹底研究した。ナインに「スライダーが武器ですが最近は空振り率が毎年、下がっています」とスコアラー並みの知識を披露して驚かせた。「自分は後がない立場。対戦しそうな投手はしっかり調べないと」。シーズンさながらの本気モード。鍵谷含め、日本ハム1軍全投手のデータを頭にたたき込んで臨んだ成果が出た。
試合前、長距離砲の血が騒いだ。尊敬する日本ハム・中田のフリー打撃をじっくり観察。軽々とスタンド上段に飛ばす打撃に「えぐい。半端ない。あんな打撃をしたい」と目に焼きつけた。昨季、グラウンドで会話をした際に「当てにいくな」と助言されたのを思い出し、「ヒットを求めて打撃が小さくなるようでは、自分がこの世界に入った意味がない」とつぶやいた。早速、相手主砲顔負けの一発で最高の結果を出した。
2月24日、中日との練習試合で本塁打を打ったが、胸中には危機感しかなかった。「1本出ても、その次がダメだったら自分は1軍に生き残れない立場。札幌にも連れていってもらえないかもしれない。毎試合、1打席1打席が勝負。1球も無駄にできない」。キャンプから帰京後も2月27日のヤクルト戦(東京D)で安打を放ち、遠征帯同。崖っぷちからはい上がる覚悟を、バットに込めた。
由伸監督は「一発で仕留めてね。前の(打席の)中直も良かったし、この数試合はずっといい感じで打っている。続けていってほしい」と拍手を送った。重信、立岡、亀井、長野らとの厳しい外野争いが続くが「自分のスイングを続けて、アピールしていきたい」。オープン戦4安打中3本が長打。今年の大田は違う―。そんな期待を抱かせる特大アーチだった。(片岡 優帆)