野党「共に民主党」の金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員会代表は1日、旧日本軍の元慰安婦たちと面会し、慰安婦問題をめぐる韓日両国の合意について「ひとまず国家間で交渉を行ったので、その結果を現時点で白紙化は困難だ」と述べた。
金氏は三一節(独立運動記念日)のこの日、ソウル市麻浦区延南洞にある元慰安婦たちのための施設「平和のわが家」で行われた「『旧日本軍慰安婦と手をつなぐ正義記憶財団』設立基金伝達式」に出席、元慰安婦の金福童(キム・ボクトン)さんが「新たに始めなければならない」と、再交渉を求める趣旨の発言をしたのに対し、金鍾仁氏は冒頭のような発言をした。これに対し金福童さんは「交渉をやり直すのが困難だというのか」と話した。
金鍾仁氏の発言は、韓日両国政府による慰安婦問題に関する合意を批判し、再交渉を求めてきた「共に民主党」のこれまでの方針とは異なるため。論議を呼ぶことが予想される。同党は今年初め、韓日両国間の交渉を無効にし、再交渉を求める決議案を国会に提出している。同党の金聖洙(キム・ソンス)スポークスマンも、三一節記念式典での朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の式辞について「日本政府の真の謝罪を引き出すためなら、意味のない合意を白紙にする果敢な姿勢を見せるべきだ」と主張した。
金氏は「(元慰安婦の)おばあさんたちの問題で騒がしくなっているが、だからといって過去が消えるわけではない。最近公開された映画『帰郷』を多くの人が見たということ自体が、過去を絶対に忘れないということを証明している。これからも引き続き話をしていくことで、おばあさんたちがこれ以上つらい思いをしないよう努力していく」と語った。
一方、在韓日本大使館前の(慰安婦を象徴する)少女像について金氏は「少女像は歴史を証明するものであるため、国民が守ると言っている限り、政府が簡単にほかの場所へ移すことはできない」と述べた。
「共に民主党」はこの日、所属議員たちの月給の一部を集めて積み立てた1億ウォン(約930万円)を、「正義記憶財団」の設立基金として手渡した。