新日本プロレスの後藤洋央紀(36)が1日、「NEW JAPAN CUP」(3日、東京・大田区総合体育館で開幕)に向け「滝行」を敢行した。IWGPヘビー級王座戦8連敗から極度の不振に陥っていたが、極寒の滝に打たれて開眼の兆し。とはいえ、危機的状況に変わりはなく、NJCをレスラー人生を左右する勝負のトーナメントに設定した。
後藤はこの日、神奈川・南足柄市の「夕日の滝」で滝行に臨んだ。3月とはいえ、周辺の気温はなんとマイナス1度。水温も2・5度で、極寒修行の部類に入るコンディションだ。
空手着姿の後藤は意を決して入水。全身の感覚がなくなるほどの冷たさに耐え、雄たけびを上げながら1分30秒にわたり滝に打たれ続けた。さらに2回目は上半身裸で再び「心頭滅却」した。
荒行に身を投じることで現状を変えたかった。2月の大阪大会でIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(28)に完敗を喫し、同王座戦ワーストの8連敗。モチベーションの低下に悩まされ「今の自分はリングに上がる資格すらない」と、引退危機すらささやかれた。
「このままではいけない」。そんな後藤がすがったのが、心身の鍛錬となる滝行だった。足柄修験の会代表の市川邦雄氏は「壁にぶつかったときに滝に打たれると、この厳しさに比べれば…と自信がよみがえる。ものすごい衝撃を受けると思います」と効果を説明する。
その言葉通り、滝から上がってきた後藤は「無ですよ。無の境地に入って、何かが吹っ切れた」と充実した表情だ。
特訓の“バラエティー化”が止まらない昨今のプロレス界では、リンボーダンスやアナウンス、果てはラーメンづくりなど疑問符がつく公開練習が横行している。久々の本格派特訓を敢行した後藤がNJC1回戦で激突するのが、前述の全てに関わった永田裕志(47)というのも因縁じみている。
もっとも結果を残さないことには、正念場に変わりはない。後藤は「次のNJC、俺の人生の岐路に立たされるシリーズになると思っている」とキッパリ。オカダから受けているCHAOSへの勧誘も「そういうことじゃない。今の俺に大事なことは、一戦一戦全てを出していくこと」と完全にシャットアウトした。
どん底からどこまで這い上がれるか。真価を問われる春になる。
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