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 大手携帯電話会社の半額以下でスマートフォンが使え、利用者が増えている「格安スマホ」が曲がり角を迎えている。激しい値下げ競争から抜け出そうと、各社は価格以外の新サービスを打ち出し始めた。新たな競争を総務省も後押しする。

 楽天モバイルは3日から、ネットで注文したスマホ端末を、最速3時間後に自宅近くのローソンで受け取れるサービスを始める。まずは都内18店からで、今後、拡大も検討する。

 電話番号を変えずにほかの携帯会社から乗り換えると、新しい端末を注文した時点で手元の端末が使えなくなり、新端末が自宅に届くまでの数日間、電話が通じなくなる。そんな格安スマホに共通する課題を解消するためのサービスだ。NTTコミュニケーションズの「OCNモバイルONE」とインターネットイニシアティブの「IIJmio」はともに昨秋に、新端末が自宅に届くまで手元の端末を使えるようにした。

 安さ以外の特徴をいかに出すか、ほかの格安スマホも策を練る。ユーネクストの「U―mobile」は昨秋、最新のヒット曲などの聴き放題がつくコースを新設。ケイ・オプティコムの「マイネオ」は昨年12月、動画などデータ通信の毎月の使用量が上限に達した利用者が、他の利用者から融通してもらえるサービスを始めた。

 格安スマホは、大手から回線を借りて通信サービスを手がける。販売店やCMを減らして経費を抑え、低料金を実現。調査会社MM総研によると、昨年9月末で利用者は400万人を超え、1年間で76%増えた。

 価格競争も激化しており、月1ギガバイトまでのデータ通信料金は、数年前は2千円ほどだったが、いまは1千円以下だ。

 イオンは2月下旬に月480円のコースを新設した。採算割れしても、ほかの商品やサービスの売り上げ増で補えるとの計算もあるとみられる。通信事業が中心の企業はこうした戦略はとりづらく、「もう追随はできない」(マイネオ)との声も出始めている。