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印南敦史印南敦史  - ,,,,,,  06:30 AM

「折れない心」を持ちながら、熱狂し続けるために

「折れない心」を持ちながら、熱狂し続けるために

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熱狂しやがれ - 転職せずに100倍楽しく働く方法』(小杉俊哉著、ワニブックス)の著者は、本書のタイトルの暑苦しさを認めています。

まずは語尾の「~しやがれ」。この「上から」の物言いが受け入れられるのだろうかと疑問視しているのです。しかし、その結果として行き着いたのは、読者の方々よりは少しだけ長く職業人生を経験してきた立場として、自身が体当たりして、失敗し、もがき苦しんできたものを知ってもらうためには適切かもしれないという結論。

前半の「熱狂」について露わにしているのは、若者にこうした派手な言葉が響くのかとの思い。ただ、長年大学で教えてきた立場として、この点については「本当にそうなのだろうか?」という気持ちもあるようです。「熱狂したくないのではなく、熱くなりたくても、その対象がないのではないか」という考え方。そう考えれば、このキーワードもあながち悪くないと思えるようになったのだとか。

つまり本書は、そのような迷いを経た末に書かれたものであるということです。

仕事に対して、人生に対して、「熱狂しやがれ」。どうしたら熱狂して仕事ができるか、熱狂する生き方ができるか。熱狂することは格好悪いことではない。熱狂していなければ楽しくないのだ。自分が成長しないのだ。(「はじめに」より)

メンタル面についての考え方を記した第5章「折れない心を持ちやがれ」を見てみましょう。


メンタルの強さを勘違いするな!


著者は会社の管理職たちと話をしていると、「最近の若者は本当に、打たれ弱い。ちょっとひとこと注意しただけで、しゅんとしちゃって参るよ」というような声をよく聞くのだそうです。しかし、「たしかに、日本の近年の状況は少し異質に思える」と同調しながらも、著者は本質的な疑問へと立ち戻っています。

そもそも、その対極にある「打たれ強い」とはなんなのかということ。

それは、子どものころに考えていた富士山のイメージ、あるいは幹の太い木のように、少々のことではこたえないような強さを持っていることかもしれません。しかし、社会人としてさまざまな「修行」(それは熱狂につぐ熱狂だったそうです)時代を経験してきた結果、それが違うのではないかと思うようになったのだそうです。

たしかに、どっしり構えた幹の太い木の安定感は抜群です。しかしそこには、過重負荷が限界を超えるとポキッと折れてしまうという弱点も。人間の場合は、もしそうなったら身体を壊すことになるでしょう。事実、著者自身も自律神経失調症を2度経験し、過敏性大腸炎にもなったのだとか。そんなときはいったんペースダウンをして、気力と体力の回復を待つしかなかったといいます。また人事担当者として、メンタルの病気になってしまう社員も大勢見てきたそうです。

なにかに熱狂しているときは、ときに寝食を忘れてしまうこともあるもの。それが楽しかったりするわけです。でも、「たまに」であるならともかく、それが常習化すると、いつしか無理が生じてしまうこともあるということ。

プレッシャーはその人の持っている器に対してかかるものだ。
器が大きければプレッシャーを感じることができないはずだ。
(『決断力』羽生善治著、角川書店)(158ページより)

著者はここで、将棋界で初の7冠を制覇した羽生善治氏の言葉を引用しています。(154ページより)


「心の復元力」を高めやがれ


著者が考える打たれ強さとは、どれだけ曲げられても戻ってくる、竹のようなしなやかさを持つことだといいます。そして、もとに戻ってくるそんな力が「復元力(resilience)」。そんな、凹んだときに復活できる復元力を高める方法はいくつかあるのだそうです。

1. ポジティブ・アプローチ/楽観主義でいく(159ページより)

たとえば、「うまくいかなかったのは今回だけ。準備が足りなかっただけ」「今回学んだことを活かして、次は自分の得意なパターンに持ち込めば大丈夫」というように考えてみる。こうしたポジティブ・アプローチのコツは、「できないこと」や「ダメな部分」に焦点を当てるのではなく、あくまでも自分の得意なことや残された可能性を見ることだといいます。

2. 先輩、メンター、コーチのアドバイス(160ページより)

たとえば、「自分だって、同じような失敗をしたよ」「誰だって、失敗を繰り返してできるようになるんだよ」というような話を聞かせてもらう。そういうことを言ってくれる先輩、メンター、コーチがいたら、素直に相談すべきだということです。ちなみにそんなとき重要なのは、直属の上司筋にあたる人は、そうそう甘いことはいってくれないと知っておくこと。

3. 社外のネットワーク(161ページより)

たとえば、「そんなの、自分とくらべたら全然いいほうだよ」「自分の会社だったら大変だったよ。よかったじゃない、その程度で」というような社外の話を聞く。会社とは関係のない人たちであるほど、アドバイスや経験談は役に立つものだといいます。

とはいえ、これらは「他人から支援してもらう」という方法。そして、その前の段階で自分に必要な心構えは、腹をくくるということ。たとえば著者の場合は、最悪の状態に陥ったとき、いつも「別に、誰かが命を奪いにやってくるわけではない」と考えていたのだとか。命の心配までしなくていい程度のことであるなら、やりすごせるのではないかということです。

そして、「また復活するイメージ」を持つことも重要。落葉樹は冬にすべての葉が落ち、枯れたように見えるもの。でも春になれば芽吹き、葉になっていき、また花を咲かせます。それは見事なまでの自然の強さであり、人間も同じように生物としての強さを持っているということ。

絶望とは愚者の結論である。(165ページより)

人間にはもともと復元力が備わっているのだということを伝えるために、ここにはイギリスの政治家・小説家であるベンジャミン・ディズレーリのこんな言葉が紹介されています。(159ページより)


「ラッキーになる」準備をしやがれ


「チャンスは万人に平等に訪れる」という考えに対しては、「そんなのウソだ!」という反論もあるでしょう。では、「ラッキー」についてはどうでしょうか? いつもラッキーな人と、いつもアンラッキーな人がいるのでしょうか?

英語のchanceやluckには「機会・運」という、よくも悪くもどちらでもない意味と、「好機・幸運」というよい方の意味の双方があるのだそうです。それに対してluckyは、「運のよい、幸運なもの」というように、常によい方だけに使われているのだとか。

しかし日本人の多くは、「ラッキー」な事象はたまたま起こるものと考えている人が多いと著者は指摘しています。そして自分がラッキーだと思っている人は、自分自身の働きかけでそうなったと思っていることが多く、自分がアンラッキーだと思っている人は、たまたま運に恵まれないのだと思っているもの。だとすれば、ラッキーな人はどのようにして、ラッキーをつかみ取るための働きかけをしているのでしょうか?

ラッキーな人は、
1. ラッキーに備える
2. ラッキーを呼び込む
3. ラッキーを身につける
4. ラッキーを取りにいく
5. ラッキーをモノにする
(176ページより)

という順序ですべての行動をとっているのだといいます。つまりラッキーになるために必要な準備をし、行動をとり、諦めず執拗に自分のものにしようとしているということ。

ちなみにペンシルベニア大教授で、アメリカ心理学会(APA)副会長のマーティン・セリグマン氏は、著書で次のように述べているのだそうです。

良い出来事については永続的で普遍的な説明を、悪い出来事については一時的で特定的な説明をする人は、トラブルからすぐに立ち直り、いったん成功すればどんどん調子が出てくる。反対に、成功してもそれに一時的で特定的な説明をつけ、困った状況は永続的で普遍的なものと説明する人は、プレッシャーにもろく、調子も出ない。(『世界でひとつだけの幸せ』小林裕子訳、アスペクト)(181ページより)

つまり実際のところ、ラッキーな人にもアンラッキーな人にも、怒っている出来事に大差はないということ。ラッキーな人がアンラッキーな出来事に遭遇することもあれば、アンラッキーな人がラッキーな出来事に遭遇することもあるもの。にもかかわらず、両者が手にする結果が違ってくるのは、つまり「捉え方」が異なるから。しかし熱狂するために、どちらが得策かは一目瞭然だと著者。

良い機会に恵まれぬ者はない。ただそれをとらえられなかっただけなのだ。(181ページより)

この項を締めるのは、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの言葉です。(174ページより)




他にも「生き方」「自分の価値の高め方」「社外での熱狂の仕方」「味方の増やし方」を「しやがれ」口調で熱く語っています。その熱すぎるアプローチは、たしかに若い世代のそれとは異なるものかもしれません。しかし、だからこそ、一つひとつのメッセージが強く心に響いてくるのもまた事実です。


(印南敦史)

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