「長寿の人」と残念ながら「短命な人」の違いって、何でしょうか。誰でも一度くらいは考えたことがあるのでは。
日本の平均年齢は、男性80,21歳・女性86,61歳で世界のトップを独走しています。
次点でフランス、スイス、イタリアなどが続きますが、大きく引き離してトップです。
ただ、最近では高齢者の「フレイル」が指摘されており、社会的・身体的・精神的な複合的要素から、低栄養や転倒・サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)などの虚弱が誘発され、生きながらえていながらも健康ではない高齢者が増加しています。
− フレイル(Frailty
高齢者が筋力や活動が低下している状態(虚弱)を「フレイル」と呼ぶ。日本老年医学会が2014年5月提唱した言葉。
厚生労働省は「加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能など)が低下し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの危険性が高くなった状態」と定義している。
今回は、いわゆる「健康寿命が長い」90代に、特徴的な4つのファクターを考察した調査がありますので、そちらをご紹介します。
エピジェネティクスの関係性
エピジェネティクス(epigenetics)…環境的要素は DNAに書き込まれた遺伝子の現れ方に非常に影響を与える、つまり、遺伝子は寿命に重要な役割を果たしているという考え方。学問領域。
家族で一緒に暮らしていると、同じ食事・生活パターンなどのライフスタイルが似てきますし、家族が皆長寿の人は長寿になる傾向が強いです。
これはいわゆる「エピジェネティクス」として研究されている領域になりますが、いわばそうした生活環境など後天的な要因が、遺伝子のスイッチをオン・オフに切り替える役割として働くのです。
健剛な90歳代を対象とした調査では、彼らは心血管疾患に関わる遺伝子を持っておらず、免疫力を増強させる遺伝子を人より多く持っていることがわかりました(BELFAST studies)。
調査対象の90歳代の人達に「何が自分の長寿に影響を与えていると思うか?」聞いたところこのような回答が得られています。
❶ 遺伝子
兄弟も長寿ですので遺伝子がとても影響していると思います。母方の親族も全て90代まで生きています。いとこ、叔母も。ただし男性陣はそうでもありませんが。
エリーさん(99歳)
彼女の話は、男性ホルモンが「高齢に伴う疾患率を上げること」を示唆しているかもしれません。
❷ 勤勉な労働
私の2人の兄弟も90代。私たち世代では、現代の若者のように22〜23歳で初めて職につくのではなく、16歳になったらすぐ働き始めねばならなかった。それが大きかったと思います。
ノーマンさん(95歳)
私は今現在も文筆活動をしており、既に10冊の著作があります。日々、25歳の青年のように頭脳を働かせています。
サミュエルさん(95歳)
❸ “良く”食べる
私はいつも静かな生活を送ってきました。ずっと飲酒喫煙はせず、硬めの食品を食べています。
ノーマンさん(95歳)
科学者らは、ガンを発現させる遺伝子を抑制する遺伝子的特徴をすでに発見しており、それに果物や野菜に含まれる成分の摂取が貢献していることがわかっています。
❹ 積極的に社会参加している
ずっと人に興味を持っています。人と関わるのが大好きです。
サミュエルさん(95歳)
いろんなことに興味を持って生きています。
エサルさん(93歳、サミュエルさんの妹)
社会的に積極的であることは、フレイルの症状から遠ざけてくれます。
疾患がないと、独立・独歩の生活も送れるというものです。友人関係が、あらゆるストレスフルで、厄介な人生の諸問題への救いにもなります。
【参照】
- Four secrets to ageing well from people in their nineties-independent.co.uk
- Genes and life-style factors in BELFAST nonagenarians: Nature, Nurture and Narrative-link.springer.com
- 3 平均寿命の国際比較
- 567号 厚労省、高齢者のフレイル(虚弱)対策で専門職による …
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