相棒 season 14 #18 2016.03.02


(宮田)へえ〜驚いたねえ。
どれもいい品だよ。
(斗ヶ沢雄輔)あっ…知人から譲り受けまして。
知人?へえ〜よっぽどお大尽だね。
この店の事もその人から。
ものさえよければどんなものでも買い取ってくれるって。
(宮田)ああそう…うん。
身分証は見せてもらうよ。
そりゃあね昔は危ない橋も渡ったけどもう歳も歳だしね。
やばい品はさばきたくないんだよ。
だったら他を当たる。
(宮田)ちょっちょっ…待ちなよ。
わかったわかった。
うん。
それほど言うんじゃしょうがねえや。
今うちの者に金用意さすから待っててくれ。
(雷鳴)
(宮田)ああ…今逃げました!斗ヶ沢!
(銃声)あー…っ!!
(銃声)
(パトカーのサイレン)
(ヘリコプターの飛行音)
(伊丹憲一)わざわざ山の中に逃げ込まなくても…。
(芹沢慶二)今日は領収書の精算でもしようと思ってたんだけどな…。
(杉下右京)お疲れさまです。
よかったですねぇ雨が上がって。
あれ?特命係もかり出されましたか。
どうせ暇ですからねぇ。
それにしてもこれほど大規模な山狩りとはよほどの重大犯ですね。
ケガ人こそは出てませんが犯人は逃走中に3発もぶっ放してますからね。
しかもその拳銃警視庁管内で強奪されたものですし。
強奪。
という事は3年前に立川で起きた?確か犯人は3000万円相当の宝石を盗み…。
何してる!?うおーっ!
(警察官)やめろ!うわーっ!駆けつけた警察官と格闘の末拳銃を強奪したと記憶しています。
その逃亡犯が3年ぶりに姿を現した?ええ。
ずっと消息不明だったんでてっきり山で行き倒れてるもんだと思ったんですけどね。
山ですか?
(伊丹)当時犯人が逃げ込んだとされたのもこの夕霧岳だったんですよ。
なるほど。
(中園照生)犯人の斗ヶ沢は質屋から逃走後電車とタクシーを使って移動し最終的にはこのテントの外のそこの公衆電話ボックス付近に下車した事が確認されている。
3年前同様この夕霧岳に逃げ込んだと見て間違いないだろう。
今度こそ奴を捕らえ銃を奪い返すんだ!
(一同)はい!あっ…そういえばお客様は?なんでも今日は法務省のほうでどうしても外せない用事があるとか。
(芹沢)ついてるな〜あの人。
(冠城亘)ついてませんねえ…せっかくのゴルフコンペだったのに。
(日下部彌彦)あんな集中豪雨にやられちゃ仕方がないさ。
まっこうして久しぶりにみんなと顔を合わせられただけでもよしとしよう。
それにコンペの結果は見えていたしな。
そういえば事務次官知ってます?あの東京と山梨の県境に夕霧岳って山があるんですけどここら辺じゃ「神隠しの山」って言われてるんです。
神隠し?ええ。
行方不明者が後を絶たないらしくて。
地元の人の話じゃ…出るらしいですよ。
おい…もうどんだけ来た?そろそろ引き返さねえと暮れてくんじゃねえか?
(芹沢)もう10キロ近く歩いたはずですけどね。
どうしました?これ弾痕じゃありませんかね?
(伊丹・芹沢)えっ?ああ確かに見えなくはないですね。
それからここ。
(伊丹)2発か…。
でもこの辺りはイノシシ猟も盛んなところらしいですからね。
まあ一応メモっておきますけど。
えっと沢が流れてここだから…。
(伊丹)ああもう…警部殿自由行動は慎んでください!え〜どうします?もうほっとけ。
行くぞ。

(ため息)ううっ…ああっ!
(米沢守)実際に見てみませんとこれ写真だけではどうにも…。
ですよねえ。
って事はまた行くのかあの山ん中へ。
ご〜苦労さまです。
あっ…これはこれは。
お客様にこんな場所までご足労頂いて。
いや僕も来るつもりなかったんですけどね右京さんにちょっと渡したいものがありまして。
杉下警部に…。
しかし杉下警部はいらしてませんけど。
昨日から連絡つかなかったんでてっきり山にいるのかと。
(携帯電話)あっちょっとすみません。
(携帯電話)あっ特命係からです。
行き違いだったみたいで…。
もしもし右京さん?
(角田六郎)「右京?」なんだ…角田さん。
(角田)うん。
杉下が昨日からつかまらないんでお客様にかけたんだけどね。
落ち着いて聞いてよ。
コーヒーメーカーが壊れちゃって参ってんだよなあ。
もしよかったら新しいのを俺が発注しとくけど。
そりゃ大変だ…。
お願いします。
電話切りますよ。
角田さんも右京さんと昨日から連絡取れないみたいで。
(米沢)昨日は杉下警部も山に入ったんですよね?ああ。
捜索は日が落ちる前に終わったから6時ぐらいにはバスで本庁に戻った…よな?ええ。
杉下さんも一緒に…。
乗ってましたっけ?確認しなかったんですか?どうせいつも勝手な行動しかしないからもう勝手に帰ったもんだと。
まだ山にいたりして。
んなわけないでしょう。
ハハハッ…。
はっ!
(鳥の鳴き声)あっ…。
ああ…うっ…。
ああ…。
(柱時計の時報)ほう…。

(峰田喜久子)ああ起きたの。
すっかりお世話になってしまったようで。
世話も何もあんな山ん中で行き倒れてりゃ助けないわけにいかないよ。
行き倒れていた?ああ…すみません。
記憶が曖昧なもので。
ちょうどうちの旦那が裏山の畑見に行ってあんた見つけて。
救急車呼ぼうにも雷で電話不通だし。
応急手当てだけはしたけど。
恐れ入ります。
いやあそれにしても立派な登り窯ですねぇ。
実は先ほど母屋に飾られていた陶器を拝見させてもらいました。
こちらは陶芸家村井流雲先生の工房では?詳しいんだね。
大ファンでして。
あっ…そうなの。
でもあいにく先生は…。
承知しています。
この山で消息を絶たれたのはもう7年も前の事ですねぇ。
大規模な捜索がなされましたが先生は見つかりませんでした。
神隠しにあったのさ。
神隠し?一度迷い込んだらちょっとやそっとじゃ出てこられない山だからね。
あんたも気をつけたほうがいいよ。
そういえばそんな都市伝説を聞いた事があります。
怖いですねぇ。
はい。
ああどうも。
ところで僕の私物は?私物?ええ。
上着に携帯電話が入ってましてね同僚に連絡を取りたいものですから。
ああ!あそこ。
携帯なんかなかったけど…。
でもあってもここじゃ電波つながりにくいし。
そうですか。
でしたら近くに電話が出来る場所は?その足じゃ無理だよ。
10キロもあるんだよ村まで。
あの車をお借りする事は?悪いねえ…あいにくガソリン切れててさ。
(中園)杉下が山に!?ええ。
その可能性があるようでして。
(中園)お前ら一緒に行動してたんじゃないのか?すみません。
弾痕らしきものを見つけた場所ってこの辺りですか?そうです。
(米沢)ちょうど山梨県と埼玉県の県境ですね。
あれっお客様長靴は?捜索は皆さんにお任せしようかと。
えーっ!?行かないんすか?杉下さんの捜索行かないんすか?
(米沢)人としてあり得ない…。
その高そうなスーツじゃ無理もありませんが。
いやスーツなんかどうでもいいんですけどもね。
あの皆さん例の都市伝説の話知ってます?都市伝説?ええ。
夕霧岳は神隠しの山で山で道に迷うと死んだ男の生き霊が出てきて道案内をするってやつです。
ああ白いスーツを着たお化けが出るってやつですね。
それです。
まさか法務省キャリアともあろうお方がそんな話を?僕はこう見えてリアリストですし根も葉もない噂話を信じるほどうぶじゃありません。
ただですね数年前甲府法務局の職員と夕霧岳のキャンプ場に宿泊した事がありましてねよせばいいのに肝試しでもするかって話になったんです。
それで?見ちゃったんです。
あーっ!!あれ?今馬鹿にしました?
(芹沢・伊丹)はい。
ええ。
警部殿があなたの事を同居人と言い続ける意味がわかったような気がしました。
さあ行くぞ!
(米沢・芹沢)はい。
いってらっしゃい。
はいはい〜。
随分お弟子さんがいらっしゃるんですねぇ。
(喜久子)昔の写真だよ。
みんなとっくに山下りてもう残ってるのは私ら夫婦だけ。
寂しいもんさ。
なるほど。
しかし村井先生はとてもにこやかに笑ってらっしゃるのにお弟子さんたちは皆さんどこかとても疲れた顔をしてますね。
そりゃそうさ!窯焚きの直後だからね。
先生の窯焚きは1週間から10日かかるし24時間ぶっ通しで薪くべ続けなきゃならないんだ。
もう終わったらヘトヘトさ。
そういう事でしたか。
たっぷり時間かけて焼かないと陶器は強くならないっていうのが先生の持論だからね。
強く!ですか。
まさに村井先生の作品はその強さが特徴でしたねぇ。
先生が惚れ込んだくらいですからこの夕霧岳の粘土はとても上質なのでしょうね。
当たり前だよ。
信楽や益子にだって負けやしないよ。
しかしいまだにわからない事があります。
この夕霧岳に工房を移してまさに村井先生は絶頂期と言える時でした。
どうして突然失踪してしまったのでしょう?先生はずっと苦しんでたからね。
と言いますと?生まれつき心臓に持病があってさいつ発作が起きてもおかしくなかったんだ。
自殺をほのめかした事も一度や二度じゃなかった。
難しい人だったよ。
そういえば先生の作品はいつも死をテーマにしていましたね。
代表作の耳付きの壺も骨壺をイメージして作ったとか。
さすが…。
あんたよく知ってるんだね。
はい。
ああちょっとお手洗いをお借りしても?ああも…もちろん。
あっち。
はい。
(柱時計の時報)おおっ…。
(峰田鉄朗)何してる!?うわっ…。
(喜久子)ちょっとあんた!この人は昨日助けた人だろう。
(峰田)ああ!そうだったなあ。
泥棒とでも思ったのかい?こんな山ん中にそんなもの来るわけないだろう。
そりゃそうだ。
ハハハッ…!こちらこそ失礼しました。
お手洗いの場所がわからなくて。
(遠藤里実)はいお待たせ。
どうも。
(里実)いらっしゃい。
(テレビの音声)店に来るなって言ったよね?
(遠藤亮)飯食いに来ただけだろ。
(キャスター)「今入ったニュースをお伝え致します」「3年前に東京立川市内で宝石強盗をして指名手配中の男が再び逃走している模様です」「男は斗ヶ沢雄輔容疑者で拳銃を所持している可能性があり警視庁では緊急配備を敷くなどして対処しているとの事です」
(受付)えっ都市伝説?ええ。
確かあの話の発祥はこの村でしたよね?おたくテレビ局の人?いいえ。
法務省の。
(前園桔平)またその話ですか。
勘弁してくださいよ。
あんな作り話のせいでどれだけ村のイメージが悪くなったか。
私なんか夕霧岳で育ちましたけど亡霊なんて見た事も聞いた事もありませんよ。
でも実際行方不明者の方出てますよね?有名陶芸家の方も失踪してますし。
村井先生の事ですか…。
確かにあの騒ぎのせいで根も葉もない噂は全国区ですよ。
当時の事を伺っても?村では過疎対策として10年ほど前から村おこしの計画がありましてそれで村井先生を招聘する事にしたんです。
夕霧岳の粘土は質もいいし天下の村井先生が工房を開いてくれれば信楽のような陶芸の里になって移住者も増えるんじゃないかと思いましてね。
それが招致して数年であの失踪騒ぎですよ。
マスコミは毎日のように押し寄せて神隠しだなんだって言い出して。
陶芸の里も何もあったもんじゃない。
しかもその数年後には宝石強盗犯まで夕霧岳で行方不明になった。
あんなものは東京で起きた事件なのにこっちはいい迷惑ですよ。
また逃げたんでしょう?今度こそ警視庁には責任を持って捕まえてほしいもんですね。
鋭意捜索中のようです…。
あっもうすぐ渓流釣りが解禁ですね。
この辺りイワナも釣れるんですね。
「イワナっち」?
(喜久子)へえ〜あんた刑事だったの?
(喜久子)だったらもっと早く言ってくれりゃよかったのに。
ねえあんた。
ああ。
もっとうまいもん用意したのにな。
東京側の山道口から夕霧岳に入りましてねいつの間にかこの裏山の崖にたどり着いてしまいまして…。
で気がついたらこのボロ屋で目を覚ましましたとさ。
(一同の笑い声)で逃走犯の斗ヶ沢ですが3年前にもこの山に逃げ込んでましてねぇ。
大規模な捜索がなされたにもかかわらず行方がわからなかったので神隠しにでもあったのではないかと思われていたようですよ。
で生きていたの?その人。
大したもんだ。
どうやって冬を越したんだかなぁ。
まったくです。
それにあの崖の上には彼が発砲したと思われる弾痕が残っていましてね。
つまり斗ヶ沢はこの裏山まで来ていた可能性があるんですよ。
でもこの辺じゃ猟師もたくさんいるしね。
ああ。
しょっちゅうパンパンやってるよ。
まあその可能性も否定出来ませんがね。
ところでこちらにはもう一人住人がいらっしゃいますね。
何言ってんの。
いるわけないだろう!ですが先ほどそちらに箸と茶碗が3膳置かれていましたが。
あんたの分を用意しといたんだよ〜。
うんうんうん!あっそうでしたか。
それはそれは…。
あっちなみにお二人はタバコはお吸いにはなりませんよね?うん。
客間の囲炉裏に吸い殻がありましたが。
たまに陶器買いに来るお客さんがいてその人がタバコ吸いなのさ。
なるほど。
納得です。
まあ夫婦だけで四六時中顔を突き合わせてるよりそういう人がいてくれたら気が紛れていいけどねあんた。
あっ…そういえば奥に先生の書斎が残っていますねぇ。
あるけど…。
ぜひ拝見させてもらえませんか?大ファンでして。
もちろん。
ありがとうございます。
あれ?おお…。
皆さんどうしたんですか?いやあ参事官がやっと山梨県警の協力要請を了承してくれたんですよ。
お客様こそどうしてこんなところに?いやちょっと用事がありまして。
(望月満)つまり杉下さんという方はこの辺りの崖から落下したと…?
(伊丹)確証はありませんが可能性は否定出来ないかと。
(芹沢)ちなみに付近の森で発見された弾痕ですが9ミリ弾によるもので斗ヶ沢の銃によるものと見て間違いないようです。
(望月)そうですか。
あっちょっと助役呼んできて。
(佐野和也)はい。
ご覧のように霧谷村は面積は広いんですがほとんどが森林です。
昔から難所と言われる山ですしゆうべの寒さを考えると楽観視は出来ないかと。
あっいやご心配なく。
あのお方はそう簡単にはくたばりませんから。
(佐野)主任助役さんを。
ああ。
助役の前園さんです。
山に詳しいんで。
この辺りでな警視庁の人が遭難したらしいんだわ。
どこか民家でかくまわれてる可能性はないかな?
(前園)どうだろうな…。
昨日の落雷で電話線がやられたらしいけど今はどこも携帯や車ぐらい持ってるからね。
保護したら連絡くらい来るはずだ。
連絡はまだ…?ああ…。
だとしたらやはり森で遭難してるんじゃ…。
まあとにかく斗ヶ沢も県境を越えている可能性があります。
すぐに捜索隊を編成してもらえますか?わかりました。
行こう。
主任テレビのニュースを見た住人から通報があって逃亡犯に見覚えがあるって。
斗ヶ沢に?はい。
わかりました。
それは僕が引き受けます。
伊丹さんは右京さんの捜索を。
へっ?やっぱ山には行かないんだ…。
驚きました。
先生の作品だけではなく私物まできれいに保存されている。
この部屋だけ見るとまるで先生がまだ生活してらっしゃるようです。
あ…遺体が見つかったわけじゃないし私らはまだ先生が生きてるって信じてるから…。
人里離れた山に工房を造りその土地でとれた粘土と薪を使って陶器を焼き上げる。
自然に逆らわず調和する…。
村井先生の生き方はまさに陶芸家の鑑ですねぇ。
おお〜っ!これも先生のものですね?ああ…どれも仕立てのいいものばかりです。
きれいに保存してらっしゃる。
あっこのスーツは先月もクリーニングに出されてますねぇ。
あっそうだ。
この浴衣姿では何かと心もとないのであとで先生の服をお借りしても?サイズもちょうどいいようです。
ああスーツといえばひとつ不思議に思ったのですが写真の先生はどれもスーツ姿です。
しかし陶芸というのは土と火にまみれて行うものですし作業に適しているとは思えないのですが。
さすが刑事さんだね…。
と言いますと?いや…今だから言えるけど先生は自分じゃ何ひとつ出来ない人だったんだよ。
先生はアイデアマンだったんだよ。
だからひねりも焼きも全部弟子の私らがやってたんだ。
それは初耳ですねぇ。
昼も夜も薪くべ続けるような地道な作業に先生見向きもしなかったよ。
ただ指示するだけ。
つまりプロデューサー的な立場だったと。
最初のうちはここも10人近い弟子たちがいてにぎやかだったんだよ。
でもみんな出てっちゃった。
そりゃそうさ。
苦労して作業したって評価されるのは先生だけだからね。
差し支えなければお聞かせ願いたいのですがお二人はなぜここに残ったのですか?いや別に理由なんかないよ。
ただ物好きなだけさ。
ところで先ほどお話ししたもう一人分の食器と吸い殻ですがあれは逃亡犯斗ヶ沢のものではありませんかねぇ?いやあ彼が3年もの間この厳しい山中に身を潜めていたとは考えられませんしかといって山を下りて暮らしていたというのも考えにくい。
なぜならば山で見つけた弾痕は比較的最近のものでしたから。
斗ヶ沢はこの山のどこか…例えば民家やキャンプ場に潜伏していたと考えるのが自然でしょう。
山で発砲した理由ですが恐らく試し撃ちをしていたのではないでしょうか。
彼は山を下りて警察官に3発発砲しました。
事前の試し撃ちもなしに素人がとっさに銃など扱えるものではありません。
でも私らは何も…。
そして裏山で発砲すればご主人の鉄朗さんがおっしゃっていたように銃声はここにも届きます。
逃亡中の身でありながらそんな大胆な事が出来たのは斗ヶ沢がすでにあなた方お二人をご存じだったからではないかと…。
だから知らないって言ってるだろ!申し訳ない。
気になる事があると職業柄すぐに知りたくなってしまいます。
ああ僕の悪い癖。
いかんいかん…。
(望月)この男が店に来てたって?
(金子みき)そうなの。
テレビ見てびっくりしたわよ。
だって月に一度ぐらいは来てたんだから。
(望月)奴が逃亡犯だって事は…。
知るわけないでしょ。
だって確か鈴木さんって名乗ってたし。
(みきの声)東京で宝石商をしててこっちには水晶の買い付けに来てたみたいだけど。
宝石強盗犯が宝石商か…。
身なりもちゃんとしてたし金払いもよかったからまさか3年も山に隠れてたなんて思いもしないわよ。
宿泊先の事は何か言ってなかったかな?確か大月辺りのホテルに泊まってるとか言ってた気がするけど…。
よくもこんな山奥まで飲みに来るもんだってみんなで話した記憶があるし。
まあ確かにそうですね。
でも斗ヶ沢はどうしてこの店に通ってたんですかね?そんなもん決まってるでしょ。
まいどありがとね。
遠藤里実さん…ですよね?県警の望月です。
何?「みき」ってスナックで働いてますよね?鈴木さんというお客さんの事で話を伺っても…。
何も知らないけど。
仕事中なんで…。
ママの話じゃ鈴木さんはあなた目当てに店に通ったって。
彼から結構高価な宝石もプレゼントされたそうで…。
客から何かもらう事なんてよくある事だし。
そのプレゼント盗品なんだ。
見せてもらえる?売ったネットで。
だからもう持ってない。
じゃあ昨日どこにいたか教えてもらえるかな?体調が悪かったんで家で寝てました。
もういい?仕事中なんで。
(峰田)間違いねえ…。
あいつは気づいてる。
気づいてて知らん顔してやがるんだ。
今日…やろう。
やるって…。
あいつは刑事だよ。
もしなんかあったら警察は本気で調べにくるよ。
いや…あいつは危険だ。
ひっ…!サイズはぴったりでした。
杉下さーん!助役もう少し捜索範囲を広げたいんですが。
わかりました。
じゃあB班のほうはこの北側のキャンプ場周辺を捜索したらどうでしょう?
(足音)なんだよ?あんたら。
県警の望月だ。
こちら警視庁の…。
法務省の冠城です。
法務省?そこは話すと長くなるので省略します。
お聞きしたいのは奥様の事です。
村の食堂で働いている…。
里実の?ええ。
彼女逃亡犯と接触した可能性があります。
何か心当たりは?知るかよそんなの…。
俺ら今別居中だし。
あなたが作った借金が原因で里実さんのほうから離婚を申し出たと聞きました。
ですがあなたはまだ離婚を受け入れたわけではないんですよね?彼女もあなたの借金を一部肩代わりしてるそうじゃないですか。
そんな女性の前に宝石商を名乗る男が現れたら何かあってもおかしくない気がしません?知るかよ。
あいつは金に転ぶような女じゃねえよ。
女性ってわかりませんからね。
(缶を投げつける音)てめえふざけんじゃねえよ!俺はなんも知らねえよ。
おい!勝手に何やってる!ああこれは失礼しました。
足はくじいていますが上半身は元気なもので。
峰田鉄朗さんあなたの名前に聞き覚えがありましてねぇ。
このチラシを見て思い出しました。
5年前都内で開かれたこの個展を僕は見に行きましたから。
村井先生直伝の荒々しい造形美を残しながらあなたの個性も練り込められた素晴らしい作品だったと記憶しています。
あれ以来個展は開かれていませんねぇ?作品が売れなきゃ個展なんか続けられんさ。
おやそれは意外ですねぇ。
先ほど奥様から聞いたのですが村井先生の作品はあなた方お弟子さんが制作していたそうですねぇ。
ならば実力は折り紙付きじゃありませんか。
世間が望んでいたのは村井流雲っていうブランドだけだったんだ。
作品の良しあしなんて二の次だ。
なるほど。
それであなたは創作活動をやめてしまったわけですか。
やめた!?馬鹿言うな。
今でも窯は焚いてるだろ!しかしここに並んでいる陶器はどれも大量生産のものですよね。
村井流の奇抜な造形美は見られませんしどう見ても業者からの大量発注を受けたものでしょう。
食うためならなんでもやるさ!あっしかも驚いた事にこの夕霧岳の土を使う事もやめてしまったようですねぇ。
その土地でとれた粘土を使って作陶するという村井流の神髄はどこへ行ってしまったのでしょう?峰田さんあなたと奥様が嘘をついている事は明白です。
どうしてそんな事をするのかずっと考えていました。
理由は二つ考えられます。
一つはこの屋敷のどこかに斗ヶ沢が銃を手にして潜んでいてあなた方に嘘をつくように強要しているから。
そしてもう一つはその斗ヶ沢はすでに死亡しているがその殺害にあなた方が関わっているために本当の事を言えないから。
もし前者だった場合もう斗ヶ沢の脅しに屈する事はありません。
彼は裏山で2発街で3発発砲しています。
彼の拳銃にもう銃弾は残っていません。
そしてもし後者だったとしたら…あなたは今すぐその手に持っている凶器を捨てて…。
自首する事です。

(車のエンジン音)
(橘翔太)こんにちは。
(喜久子)あっ何か?電話線が復旧したんで開通の確認に来ました。
(陶器の割れる音)あの電話ならこっちです。
あっはい。
(峰田)おりゃー!うっ…。
(峰田)ううーっ!ご苦労さまです。
どうでした?
(芹沢)僕らのほうは手掛かりなしです。
B班から連絡は?まだです。
ちなみに亡霊らしきものも見当たりませんでしたよ。
冠城さん彼女やはり嘘をついてました。
昨日車で出かけた姿を近所の住人が目撃してます。
そうですか…。
なんの話です?斗ヶ沢は月に一度村のスナックに通ってたらしいんですがそこで懇意になった女性がいたようで…。
まさか村の住人じゃ?遠藤里実って子ですが…。
里実が?ご存じですか?村の子ですから。
まさか里実が…?B班から連絡がありまして斗ヶ沢らしき死体を発見したと。
えっ?
(陶器の割れる音)電話どうでした?ああ問題ないっす。
じゃあ。
うわー!えっ?出してください!いやでも…。
早く!
(橘)はい!あの…これどういう…。
説明している時間はありません。
とにかく村まで下りてください。
出来る限り急いでください。
いやでも…。
うわーっ!はあはあ…。
下がって下がって。
駄目ですか?どうしましょう?駄目です。
ちょっと失礼。
これお借りします。
えっ?あなたはすぐに警察へ!斗ヶ沢で間違いありませんね。
そのようですね。
(カメラのシャッター音)
(携帯電話)ちょっと失礼。
(携帯電話)もしもし?「冠城くん!聞こえますか!」右京さん?もしもし!冠城くん!今どこですか?右京さん!もしもし!
(通話の切れる音)
(操作音)ああっ…!もしもし!もしもし?右京さん今どこですか!?冠城くん今…ああっ!右京さん!右京さん!!
(ノック)
名場面映像と生演奏で楽しむ大ヒットコンサート待望の第2弾
東京に加え大阪初開催
ご予約は公式サイトから
Don’tmissit!
(橘)骨っすよね?ひょっとして俺らも…。
夕霧岳は神隠しの山…。
あの工房に近づかないように誘導されてたわけです。
あの山が恐ろしくなりますよ。
うわーっ!
(喜久子)やめて!2016/03/02(水) 21:00〜21:54
ABCテレビ1
相棒 season 14 #18[字]

「神隠しの山」水谷豊×反町隆史
神隠し伝説のある山で杉下右京が遭難!?
不穏な陶芸家夫妻の魔の手が右京に忍び寄る!!亘は孤立無援の右京を救い出せるのか!?

詳細情報
◇番組内容
第18話「神隠しの山」
宝石と拳銃を強奪した逃亡犯が3年ぶりに姿を現すも、再び取り逃がし、夕霧岳という山中へと逃げ込まれる。警視庁は大がかりな山狩りを開始。右京(水谷豊)も駆り出されており、霧が立ち込める山中、捜索隊と別れて一人奥深く入っていった…。翌日、法務省の用事で山狩りに参加しなかった亘(反町隆史)もやってくるが、そこに右京の姿はなく、昨日山中で別れて以来、誰も右京を見ていないという…。
◇出演者
水谷豊、反町隆史、榎木孝明
川原和久、山中崇史、山西惇、六角精児、小野了
【ゲスト】升毅、山口果林、岡本あずさ、川野直輝、窪寺昭、下條アトム
◇スタッフ
【脚本】池上純哉
【監督】橋本一
◇音楽
池頼広
◇おしらせ
最新情報はツイッターでもフェイスブックでも!
【ツイッター】https://twitter.com/AibouNow
【フェイスブック】http://www.facebook.com/AibouNow
【ウェブ】http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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日本語
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