中国人が自国のもので信用しないものが3つあるという。それは食料品、政府の公式発表、そして原発だ。その中で原発だけは、日本人としても「対岸の火事」では済まされない。危険な実態を追った。
「原発白書」はウソだらけ
「すでに稼働しているはずの海陽原発(山東省)と三門原発(浙江省)が、何の発表もなく稼働が延びています。特殊な再循環ポンプに技術的な支障が生じたという話も伝わってきていますが、とにかく中国は情報を徹底して隠す。多少の放射能漏れや汚染水の流出などの事故があっても一切公開しないので、恐ろしいのです」
こう語るのは、長年にわたって原発取材をしてきたジャーナリストの団藤保晴氏だ。
春節(旧正月)の大型連休を控えた1月27日、中国国務院新聞弁公室は、中国で初めての「原発白書」を発表した。タイトルは『中国の核応急』。そこには、中国の原発開発に関する美辞麗句が並んでいる。
例えば白書の前文では、次のように記している。
〈スリーマイル島、チェルノブイリ、福島の原発事故の教訓を踏まえ、中国は不断にリスク回避に心がけ、原発の安全保障レベルを高めてきた〉
第1章の「原発の発展と基本姿勢」では、以下の記述が目につく。
〈1985年3月に、最初の原発である秦山原発の工事を始めた。以降、2015年10月現在、27基、計2550万kWの容量の原発を稼働させている。現在工事中なのが25基、2751万kW分である。わが国は、日常たゆまず安全に心がけ、指揮を統一し、周辺住民を保護し、科学的処置を取るという安全第一の精神で、原発技術を発展させている〉
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