宋美玄のママライフ実況中継

2016年3月2日

子どもは2人で終わりです

息子が寝ている間におもちゃ屋で娘を遊ばせています

 3月に入り、少しずつあたたかくなってきましたが、少しの油断で娘が風邪気味になってしまいました。といっても熱はなく、少し寒がって鼻水が出ているくらいでしたが、娘は鼻をかむのを面倒くさがるので、すする音を聞く度にティッシュを持って鼻をかませるのが大変です。息子は今のところ体調に変化はなく、以前心配していた便秘も少しずつ改善してきて、健康そのものです。

 夜にまとめて眠るようになったため、昼間は起きている時間が長く、娘が幼稚園に行っている間に、話しかけたり、すりすりしたりして過ごしています。こちらがニコニコすると、息子もニコーッとしてとても可愛(かわい)いです。やはり赤ちゃんは表情を見分けているのだなと実感します。

3人目もいいなあと考えましたが…

 久しぶりに赤ちゃんを抱っこすると、特別な可愛さがあるし、いい匂いだし、これで最後と思いたくない気持ちがわいてきます。4歳の娘も身の回りのことをひとりでするようになってかなり楽になってきたので、落ち着いたら3人目もいいなあなどと考えなくもなかったのですが、先に産んだ友人たちの話を聞くと、これから大きくなるにつれて習い事だの勉強だの受験だのが大変になってくる様子。自分の能力とこだわりを総合的に考えると、子育ても仕事もそれなりに納得できるように両立するには2人が限界だし、夫と相談して、子どもは2人でいいという結論になりました。

 欲しい時に妊娠するということは必ずしもできることではありませんが、産婦人科医としての専門知識を利用すれば、妊娠したくない時に極力妊娠しないようにすることは可能です。避妊法には複数の選択肢がありますが、授乳中であるということと、40歳という年齢の両方を考えると低用量ピルは第1選択ではありません。エストロゲンという女性ホルモンが含まれている低用量ピルにより、母乳の量と質が低下することと、年齢的に血栓症発症のリスクも軽視できないためです(ちなみに娘が2歳で授乳をしていたころ、一時期、低用量ピルを飲んでいたことがありますが、すでに栄養は食物から摂取し、授乳はコミュニケーションとしてのみだったので気にしていませんでした)。

避妊法として「ミレーナ」を選択

 今回選択したのは「ミレーナ」です。ミレーナは子宮内に入れておく器具で、黄体ホルモンという女性ホルモンが少しずつ放出されるようになっています。そのため、子宮内膜という卵が着床する部分が薄くなって、着床が妨げられたり、月経が非常に軽くなったりします。過多月経や月経困難症に対しては健康保険が適用され自己負担は1万円程度です。

 器具を入れてしばらくは不正出血が起こるという副作用がありますが、授乳中で子宮内膜が薄いうちに入れるとその副作用が軽減されることが期待できるのでちょうどいいと考え、先日レディースクリニックを受診し、入れてもらってきました。子宮内に器具を入れる際に痛みを感じる方が多いのですが、出産後そんなに時間が()っていないこともあって、ゾンデという細い棒を子宮内に入れても何の感覚もなかったです。びっくり。ミレーナを挿入する時には少し押される感覚があり、しばらく重い痛みがありましたが、覚悟していたほどの痛みは全然なかったです。

月経も軽くなり、方針変更も簡単

 月経も夢のように軽くなることが多いし、今回の出産で終わりかなあと考えている方にはとてもおすすめです。ナプキン代が浮きますし、なんといっても煩わしさから解放されます(私は第1子妊娠前に低用量ピルを長い間飲んでいて月経がとても少なかったので、ナプキンはずっと使っていませんでした。産婦人科女医は何らかの方法で月経を軽くしている人が多いです)。

 ミレーナは5年間有効なので、5年後に新しいのに入れ替えたら、それでもう閉経まで大丈夫なんじゃないかと思っています。このまま一生、月経の煩わしさとはさようならする予定です。また、ミレーナのいいところは抜いてしまえば元通りなので、状況が変わって子どもが欲しくなった場合にも対応できるのです。

 高齢不妊のリスクが(あお)られる一方で、40代の中絶の多さも問題になっています。「もうできないだろう」と思っている人は多いのですが、避妊も中絶も無かった時代の人口動態統計を見ると40代後半の出産もそれなりにあったので、妊娠できる人はできるのです。月経が軽くなるというおまけつきのバースコントロール法「ミレーナ」をぜひチェックしてみてください。

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プロフィル
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宋 美玄(そん・みひょん)
 
産婦人科医、性科学者。
1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら
 
このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)について、詳しくはこちら
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