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日比谷線56年ぶりの新駅-虎ノ門に駅を設置する構想は、過去にもあった!!-

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すでに工事が始まっている。


東京メトロ(東京地下鉄)日比谷線は北千住―中目黒間20.3キロを結ぶ路線で、1961年3月28日の部分開業から、わずか3年で全通にこぎつけ、東京オリンピック開催までに間に合わせた。今度は2020年夏の東京オリンピック及びパラリンピック開催までに、虎ノ門新駅(仮称)の開業を目指している。

■1度は構想していた日比谷線虎ノ門駅


日比谷線虎ノ門新駅は、霞ケ関駅から800メートル、神谷町駅から500メートルの地点に設けられる。

東京メトロの前身、営団地下鉄(帝都高速度交通営団)が1957年5月に日比谷線の建設計画を発表した際、虎ノ門駅を設け、銀座線乗換駅とする予定だったが、諸事情により見送られた。その理由を東京メトロに問い合わせたところ、不明だという。

文献に目を通したうえで考えられるのは、下記の通り。

①東京オリンピックの開催決定

日比谷線開業前から東京オリンピック開催前の全通が至上命題になり、当時は未着工だった人形町―中目黒間の着工を極力早める必要が生じた。営団地下鉄が日比谷線の建設工事に着手したのは1959年5月1日で、わずか5年で完成しなければならなかった。

②虎ノ門の立体交差工事

日比谷線は虎ノ門で銀座線をくぐるため、地下における立体交差工事が必要となった。地上の交通量(当時は都電〔路面電車〕も運行していた)や銀座線のトンネル補強工事を勘案し、「相当な時間を要する」と判断。日比谷線ホームの設置を断念したと考えられる。実際、その工事は完成まで1年半を費やした。

③情勢の変化

高度経済成長による物価の変動、建設用地取得の難航による工事工程の一部変更、八丁堀―中目黒間のホーム有効長を18メートル車8両編成分に設計変更(のちに全駅を18メートル車8両編成に対応)など、建設費の総額が当初の見積もりより大幅に上昇した。

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蛇足ながら、霞ケ関駅から虎ノ門駅までは、徒歩3~5分(日比谷線と千代田線駅は徒歩3分、丸ノ内線駅は徒歩5分)。両駅の出入口も"目と鼻の先"と言えるほど近いので、1日乗車券(2016年3月26日から24時間券に変更)を使えば、容易に乗り換えられる。

■日比谷線虎ノ門新駅計画再び


営団地下鉄が日比谷線の建設計画を発表してから57年後の2014年9月12日、東京都は虎ノ門ヒルズの近くに、日比谷線虎ノ門新駅設置の構想を明らかにした。同年に行なわれた都市再生緊急整備協議会により策定された整備計画において、UR都市機構が新駅周辺の拠点形成事業となる虎ノ門地区拠点整備事業と併せ、地下鉄日比谷線整備事業(インフラ整備)を担うことが位置づけられたのだ。

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虎ノ門新駅付近供用開始時イメージパースと平面図(東京メトロ提供)。


実施主体はUR都市機構、設計・工事及び供用開始後の運営管理は東京メトロがそれぞれ担い、同年10月14日に両者が正式発表した。その後、2016年2月8日に起工式が行なわれ、工事に着手した。冒頭で述べたとおり、2020年夏までの開業を目指す。

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虎ノ門新駅の供用開始時イメージパース(東京メトロ提供)。


開業時は地下1階にホームと暫定の改札を設置し、最終完成時(2022年度までの予定)には改札を地下2階に移転する。

■日比谷線虎ノ門新駅は銀座線乗換駅の予定

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銀座線虎ノ門駅。画像の01系は2016年度で引退する。

東京メトロによると、日比谷線虎ノ門新駅は、虎ノ門1丁目再開発に合わせて整備予定の地下歩行者通路を通り、銀座線虎ノ門駅に接続する予定で、「当該地区の交通結節機能の強化につながる」と考えている。

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例えば日比谷線六本木から銀座線新橋へ向かう場合、1日乗車券以外の乗車券を使用すると、銀座もしくは、霞ケ関と国会議事堂前(溜池山王駅に直結)で乗り換えなければならず、しかも遠回りだが、虎ノ門新駅の開業で乗車距離が大幅に短縮する。

普通運賃は営団地下鉄時代から最短ルートで決められているので、新線や新駅が開業すると、一部区間で値下げするケースもあるが、今回の虎ノ門新駅開業ではない。また、2004年4月1日(東京メトロ初日)の駅ナンバリング導入後、初めて既設区間に新駅ができるので、自社所有駅で案内表示などの改修が発生する。例えば、日比谷線虎ノ門新駅の駅ナンバリングを「H-06」にあてた場合、霞ケ関―北千住間はH-07~22(現行H-06~21)に変更するだろう。

■虎ノ門新駅は、開業時からホームドアは設置されるのか


日比谷線虎ノ門新駅で気になるのは、開業時からホームドアを設置するのかだ。

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日比谷線3代目車両の13000系。相互直通運転を行なう東武鉄道も70000系を投入する(東京メトロ提供)。

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日比谷線2代目車両の03系。今後、13000系に置き換えられる。

現在、日比谷線は18メートル車8両編成で運行されているが、3ドア車と5ドア車(1・2・7・8号車)が混在し、将来のホームドア設置における課題を解消するため、2016年度より20メートル4ドア車7両編成の新型車両を導入する。車両更新は急ピッチで進められ、2019年度までに完了させる予定だ。仮に虎ノ門新駅が2020年度に開業しても、先述した改札だけではなく、プラットホームも"暫定"の可能性がある。

東京メトロによると、日比谷線のホームドアについては、車両更新完了後、「各駅へ順次設置する予定」だという。現時点、どの駅から着手するかは、まだ決めていない。

既設線のホームドア設置には、ホームの補強と改良、列車の停止精度向上などの課題がある。後者については、一部を除き、ATO(Automatic Train Operation:自動列車運転装置)もしくは、TASC(Train Automatic Station stop Control:駅定位置停止装置)を導入し、運転士をバックアップしている。私は日比谷線の新型車両更新と並行して、駅や設備面などの改良工事を進め、ホームドア設置に向けて万全盤石の態勢を整えていくと思う。

虎ノ門新駅の開業により、鉄道ネットワークが充実するほか、東京都はここを起点に、臨海副都心エリアを結ぶBRT(Bus(バス) Rapid(ラピッド) Transit(トランジット):バス高速輸送システム)の運行計画をたてている。都心から臨海副都心への新ルートが誕生すると、観光客の増加やオリンピックアクセスの充実など、経済効果が期待できる半面、一過性で終わる可能性もある。東京都と東京メトロがタッグを組んで、「地下鉄&BRT」の乗継割引乗車券を発売するなど、まずは"顧客"の獲得に向けた取り組みに注目したい。

■コラム 日比谷線初代車両3000系

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長野電鉄移籍車両のうち、2両(3000系トップナンバー車)は廃車後、東京メトロに返還。"歴史の生き証人"として大切に保存されている。

日比谷線はオリンピックに縁があるようだ。冒頭で述べた2つのほか、初代車両3000系の一部が長野電鉄へ移籍し、1998年2月に長野オリンピックで"「2度目のオリンピック輸送」という名の大役"を務めた。日本の電車で、オリンピック輸送を2度も行なったのは、この車両のみ。ある意味、"偉大な存在"と言える。

現在、移籍車両は13両(2両車5編成、3両車1編成)在籍。2020年の東京オリンピック、パラリンピック開催時も元気な姿を披露してほしいものだ。

【取材協力:東京地下鉄】

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