吉永岳央
2016年3月1日21時54分
プロ野球・ソフトバンクを昨季限りで退団した松中信彦(42)が1日、福岡市内で記者会見に臨み、現役引退を表明した。他球団でのプレー続行を目指したがオファーはなく、「精いっぱいの準備をしてきたけど、現実は厳しい。入団テストの機会を得ることもできなかった」。平成に入って唯一となる2004年のパ・リーグ三冠王が、あふれる涙を何度もぬぐいながら語った。
松中は昨季9試合でわずか1安打。引退を勧める周囲の声を振り切って、「ボロボロになるまでやりたい」と現役の道を探った。「好きな野球をもっとやりたいと思って選んだ道。この終わり方が、探していたパズルの最後のピースだった。胸を張って、後悔はないと言える。これが僕の野球人生」と言い切った。
19年間に及んだ現役生活を総括し、「僕が入った時のダイエーは弱かった。みんなで切磋琢磨(せっさたくま)して常勝チームになって、日本一も経験できた。感謝の気持ちでいっぱいです」。
抑えていた感情をこらえきれなくなったのは、ファンへの思いを問われた時だ。「自分の宝物。声援に応えたいと思ったからこそ、ここまでできた」。涙があふれた。
今後は指導者を目指す。「王貞治会長が僕を三冠王にしてくれたように、僕も三冠王を取れる選手を育てたい。そのために、もっともっと勉強しないと」。尽きない夢を熱心に語った。(吉永岳央)
■最後の最後まで現役にこだわった
《王貞治・ソフトバンク球団会長の話》 ホークスを幾度となくリーグ優勝、日本一に導いてくれました。プロ入り後、努力を重ねレギュラーの座をつかみ取り、いつの間にか押しも押されもせぬ12球団ナンバーワンの打者に成長しましたね。彼の『振る』姿を見て、数多くの若手選手が育っていきました。最後の最後まで現役にこだわり、ついこの間までバットを振っていた姿を思い出します。まだやれるのではないかとの思いもありますが、引退は彼が考え抜いた結果です。選手としては幕を閉じますが、野球人として今後も野球界の発展のために頑張っていただきたいと思います。
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