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【震災5年 3・11】
福島の土壌に雲母が多いことが幸いした…セシウム吸着効果で農林水産物汚染は着実に減少
◆海は以前の水準に
海流の影響でセシウムが拡散しやすい海洋も、汚染は減っている。東京海洋大の石丸隆特任教授(海洋生物学)は「原発近くを除いた大半の沖合で、海水中のセシウムは事故前と同水準の1リットル当たり数ミリベクレルに下がった」と話す。
海底の土は場所によって1キロ当たり100ベクレル超のセシウムが現在も検出される。だがセシウムを大量に含むのは泥のような堆積物であることが多く、その大半を占めるミネラルはセシウムを強く吸着して離さない性質がある。
魚の餌となるゴカイを汚染された堆積物で飼育する実験を行ったところ、セシウムはほぼ取り込まれないことが確認されたという。こうした海底の小動物を食べる魚にも、セシウムは移行しないことになる。