終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題で対立している韓中両国が通貨スワップの延長と貿易拡大など経済分野では協力を強化していくことで一致した。
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するため中国を訪れた柳一鎬(ユ・イルホ)経済副首相兼企画財政部(省に相当)長官は26日、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁と会談し、韓中通貨スワップ協定の延長について協議を進めることで一致した。通貨スワップとは外貨準備不足などの危機が発生した際、所定の限度内で自国通貨を融通し合い、外貨を確保するための取り決めを指す。
韓中両国は世界的な金融危機直後の2008年12月初め、通貨スワップ協定を結び、その後2回の拡大・延長で現在は最大3600万元(64兆ウォン)を交換することができる定めとなっている。協定の期限は来年10月までであり、まだ20カ月残っているが、世界的な金融市場の不安に先手を打つため、通貨スワップ延長を早めに協議することで一致した格好だ。双方は今年上半期に中国にウォン・人民元の直接取引市場の開設作業を終えることでも合意した。
柳副首相は27日、中国の楼継偉財政相とも会談し、韓中自由貿易協定(FTA)を活用し、両国の貿易を拡大する一方、両国の政策金融機関を通じ、アジアインフラ投資銀行(AIIB)のインフラ開発事業に積極的に参加することで合意した。
柳副首相は会談後の記者懇談会で、「現在政治的には(両国間に)異なる声が上がっているが、それはそれ、経済は経済だ。韓中の経済協力がさらに強化されるとの見方で一致した」と述べた。柳副首相は「米中両国が対北朝鮮制裁で合意したことを受け、中国がTHAADを理由にあえて非関税障壁で韓国に報復するようには思えない」とも語った。