末崎毅、吉川啓一郎、石山英明
2016年3月1日22時08分
来春卒業する学生の就職活動が1日、正式にスタートした。今年も学生にとって就職しやすい売り手市場で、企業側は早く良い人材を確保しようと動く。競争が激化する中、実態と異なる「好待遇」で誘う「ブラック求人」もまぎれており、学生は注意が必要だ。
1日、千葉市の幕張メッセで始まったリクルートキャリアの合同企業説明会。2日間で学生のべ約4万人、企業640社の参加を見込む。
早朝の高速バスで静岡県から訪れた国立大3年の男性は、この日が初めての就活。「少し早く動いても、あまり変わらないと思って」。一方、東京都の私立大3年の女性は前日、1月にインターンシップに参加した企業の2次面接を受けた。「内定を得ても、まだ『押さえ』かな。自分にあった会社をみつけたい」
今年の選考解禁は6月で、昨年より2カ月早い。説明会の期間が短い「短期決戦」だ。リクルートキャリアの岡崎仁美・就職みらい研究所長は「今年は学生も企業も『スタートダッシュ』の傾向がある。昨年、予定通りに採用できなかった社も多く、採用意欲は昨年以上に高い」と話す。
ここ数年目立つのが、「ブラック求人」の被害だ。うそやあいまいな表現で実際と違う好条件を示して入社させようとする。厚生労働省によると、2014年度、求人の記載内容についてハローワークに寄せられた苦情などは1万2千件。前年度より3割増で、実際の賃金などが違うといった苦情が多いという。
若者の雇用問題に取り組むNPO法人「POSSE」の今野晴貴代表は「この1、2年で『求人詐欺』が増えた。ブラック企業とまではいえない普通の企業でもでたらめを書くのが特徴。入社後に気づいても我慢するケースが多い。表に出ているのは氷山の一角だ」と話す。特に「固定残業代」をめぐる相談が増加。例えば「月額20万円」の場合、基本給15万円と営業手当5万円が払われたが、時間に見あった残業代が支払われない。ほかにも、週休2日なのに休みがほとんどない▽社会保険完備なのに加入できない▽そもそも仕事内容が違う――といったケースがある。
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