プロインタビュアー・吉田豪による対談連載! 今回は1月5日に行なわれた音楽ライター・南波一海さんとのイベント『吉田豪×南波一海のアイドル大放談2016』のトーク部分を再録! アイドルのツイッター問題から、アイドルライターならではの悩みまで、南波さんが赤裸々に語ってくれました!(構成:市川力夫)(構成:市川力夫)
昨今のアイドルたちの「爪痕を残す問題」
吉田豪(以下、豪):ボクと南波さんは大阪でアイドルイベントのMCを何度も一緒にやってるんですけど、東京で絡むことはほとんどなくて。
南波一海(以下、南):『アイドル三十六房』(タワレコのUstream番組)に何度か出てもらったぐらいですよね。
豪:とりあえず何の話します? まだ年が明けたばかり(このイベントは1月5日開催)だってことで、フジテレビでやってた正月のアイドル特番(『アイドル New Year サミット 2016』)の話でもしますか?
南:あ〜、僕は黙って見てましたね(笑)。
豪:率直に言ってどうでした?
南:ヒドかったですね!(笑)
豪:ダハハハハ! まぁ、『TOKYO IDOL TV』よりは良かったんじゃないですか?
南:アレよりは良かったですね(笑)。いつぐらいから始まったのか分からないですけど、最近は女の子たちが短い時間で結果を残さなきゃ! みたいな風潮になってるじゃないですか。
豪:ああ、「爪痕を残す問題」ですね(笑)。
南:それが、裏目裏目に出まくってて(笑)。
豪:うまい残し方をしてる人と、そうじゃない人がハッキリ分かれた番組でしたよね。
南:うまく残せない人が痛々しくてしょうがないんですよね……。
豪:「あの番組で下着を見せることのメリットって何だろう?」「トイレの小は3回に1回しか流さないと告白することのメリットは?」とか考えちゃいますよね。
南:まったくメリットがないじゃないですか(笑)。
豪:ツライとしか思えなかったですよ。結局、テレビにどこまで歩み寄るかっていうことだと思うんですけど、歩み寄らないで爪痕を残したのはあのちゃん(ゆるめるモ!)とかでしたよね。いじっちゃいけない空気感で爪痕を残すっていう(笑)。
南:あのちゃんは凄く良かったですよね。でも、僕はツイッターで「ツライ」とかで検索して、同じような人のつぶやきを見て「あ〜、みんなツライんだ〜」って笑ってましたね。
豪:でも、それを直接的につぶやきはせず?
南:僕はあんまりつぶやかなくなったんですけど、ウォッチはしてるんですよ。ヤバイ人とかをツイッターで見るのが好きなんで(笑)。
豪:あんまりつぶやかないようにしてるのは、何か理由があるんですか? 昔はプライベートなこともけっこうつぶやいたりしてましたよね。
南:いろんな人がブーメランのように返ってくるのを見ていて、ツイッターの上手な使い方は黙ってるのが一番良いんじゃないかな、と気づいてしまったんですよ。議論をしてる人とかを見るのは好きですけど、その議論から何かが生まれてるところを見たことないし……。ロクなことが起きてないじゃないですか(笑)。
豪:アイドルで良いツイッターの使い方をしてる人って誰だと思います?
南:最近全然見てないからなぁ……。でも、なんでもない日常をつぶやいてることが一番良いんじゃないかな、とは思いますけどね。問題提起してる人って、すればするほどドツボにはまっていくと言うか……。言っただけ損をするような風潮がある気がしてるんですよ。豪さんはどうですか?
豪:難しいですよね。たとえばハロー!プロジェクトの人たちはツイッターをやってないことで幻想が保たれてるところがあると思っていて、ハロー!を辞めた人が自由にツイッターを始めるとモヤっとしたりすることがあるじゃないですか(笑)。
南:それはちょっとありますね。でもね〜、ツイッターはね〜……良くないですよ!
豪:ええっ!! ボクは大好きですよ!
南:僕も見てるぶんには良いんですけどね。病んでるアイドルの子とかが、夜中の3時、4時にツイートしては消したりしてるじゃないですか。アレとかも見てはいるんですよ(笑)。で、気になってはいるんですけど、ツイートしては消すって、どういうことなんですかね?
豪:一瞬でもいいから、何人かには分かってほしい、っていう気持ちがあるんでしょうね。
南:でもすぐに消すってことは、そこまで広がってほしくはないんでしょうね。知ってほしいけど、広がってほしくないっていう。そのへんの心理は凄く気になるんですよね。
嶺脇社長は結婚しても家庭崩壊しない特殊な成功例
豪:じゃあ、ここらで客席からの相談にいきますね。
現在、結婚を考えている28歳の男です。豪さんが以前「コンバットRECや掟ポルシェなど、アイドル好きが結婚すると家庭崩壊を必ず起こす。うまくいってるのは嶺脇社長ぐらい」とおっしゃっていたので、とても不安です。南波さんと豪さんはアイドルと家庭、アイドルと恋人の兼ね合いはどのように考えていますでしょうか?
豪:南波さんはこの問題が起きたっぽいですよね(笑)。
南:あはは! 僕はバツイチですからね。
豪:「なんでアイドルと仕事してるんだ!」って感じで揉めることはあったんですか?
南:それ、ホントにありますよ!
豪:「バンドマンだと思って結婚したのに、なんでアイドルライターやってるの!?」みたいなことなんですか?
南:付き合ったのはバンド辞めた後なんですよ(笑)。でも、こうやって人前に出たりして、アイドルの人と楽しそうに喋ってる動画がYouTubeにあがってたりするじゃないですか。それを見てやっぱりイライラするんじゃないですかね……。
豪:そういうのも全部仕事なんですけどね。
南:仕事じゃなくて、普通にファンをやってれば問題ないはずだと思うんですけどね。もうネタにしてるんですけど、離婚後に付き合った人と11月ぐらいに別れたんですよ。それも同じ理由なんです。
豪:アイドルの仕事が理由で?
南:そうなんですよ……。自分ぐらいの年齢になると、30歳越えてる人と付き合ったりするわけじゃないですか。そのぐらいの人って、10代後半、20代前半ぐらいの人にめちゃめちゃ嫉妬しますよね!
豪:「どうこういっても、どうせ若いほうがいいんでしょ?」みたいな複雑な感情がベースにあって(笑)。
南:いつも「関係ないって!」って言うんですけど、動画とかで見ると楽しそうにアイドルと喋ってるから(笑)。
豪:ダハハハハ! 「私よりもアイドルと喋ってるほうが楽しそうじゃない! ほら!」って(笑)。
南:冷静に考えると、彼女に1時間インタビューみたいに話を聞くことってないじゃないですか。
豪:仕事でやってるインタビューほど深く掘ったりはしないですよね。あと、「私の話は興味なさそうに聞いてるのに、なんでアイドルの話は楽しそうに聞くの?」っていうのもあるじゃないですか?
南:ホントそうなんですよ! こっちは仕事でやってるのに! たとえば、家でインタビューの文字起こしをやるじゃないですか。で、つい笑っちゃってたりするのを見るとイライラするらしくて(笑)。
豪:「やっぱり楽しそうだね……」って(笑)。そう考えると、やっぱりタワレコの嶺脇社長は特殊なんですよね。奥さんも嶺脇社長も子どもが好きなロリコンだから、奥さんも嫉妬しないし、間違いが起きる可能性もない。夫婦関係としては最高だけど、社会的にはかなり危ういという(笑)。
南:そうなんですよね。どちらかと言うと奥さんのほうがハードなロリコンという気もするし(笑)。
豪:アイドル関係の仕事をしてる人、みんなが抱えてる悩みなんじゃないですかね。
南:実際、テレビを見てたりして、乃木坂46の子が出てたりすると、無意識で「かわいいな」とか言ってるんですよ(笑)。そういうのが積もり積もって、爆発しちゃうんだと思うんですよね。マジでみんなどうしてるんだろう……。
豪:お客さんだけじゃなくて、みんなが悩んでいる問題だった、と(笑)。
南:でも、オタの人同士で結婚とかは普通にありますよね。
豪:それってうまくいくんですかね?
南:多少なりとも喧嘩は起きそうですけどね。……この相談、僕は失敗しまくってるので、建設的なアドバイスが何もできないですよ! 「僕も困ってます」としか言いようがない(笑)。
豪:とにかく「嶺脇社長は特殊な成功例」ってことですね(笑)。
南:凄いですよね。嶺脇社長を見てると、僕ももうちょっと年齢が上になったら大丈夫になるのかな? って感じがしますけどね。
豪:白髪になったりしたら、なんとなく空気が違ってくる感じはありますよね。
南:そうですよね。女性からしたら、まだアイドルと付き合う可能性がありそうな感じがしちゃうんですかね? ……絶対あり得ないんですけどね!