【伊江】大相撲の元幕内力士琉鵬の浦崎桂助さん(38)=僧名・道涯、中城村出身=は引退後に出家し、現在は伊江村の照太寺の副住職を務める。「寺はいろんな人が集える場所。このお坊さんと話したい、と思ってもらえるような寺づくりがしたい」と話す浦崎さんは、傍らで地元の相撲クラブの子どもらの指導にも当たる。「島に骨を埋めるつもりで、子どもたちの成長も長い目で見守りたい」と語る。(北部報道部・伊集竜太郎)
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仏教徒の母親が自宅で壁に手を合わせる姿を見て育った。小学生の時、母に木彫りの仏像をプレゼントするととても喜んでくれ、自然と仏教に興味がわいた。現役時代から出家を考えていたという。
引退した2012年に親戚の住職がいる洪済寺(与那原町)で出家。宮城県内の寺で約1年修行し「新弟子に戻った気持ち。厳しさでいえば相撲部屋と同じものがあった」と振り返る。那覇市の安國寺住職が機会をつくる形で15年7月、妻の酉香(ゆうか)さん(38)と高齢のため後任を探していた照太寺へ。いまも相撲で痛めた左膝が曲がらず、椅子に座りお経を読んでいる。
同年8月ごろから村内の小1~5年の男女16人が在籍する伊江西相撲クラブ(玉城慎悟監督)で指導。主将の島袋偉海(いなつ)君(11)は「琉鵬さんみたいな関取になる」と力強い。父茂明さん(44)は「こんな小さな島に元プロがいるなんてすごい。努力すればできると身近に感じられ、相撲を通して礼儀も教えてもらっている」と感謝する。
浦崎さんには十両時代の忘れられない取組がある。土俵下まで寄り倒され、相手から手を差し伸べられて「ありがとう」と言われた。相手を倒すことしか考えず、それまで払いのけてきたが、その言葉で初めて手をとった。「上に行く人は考え方が違う」。周囲への感謝の気持ちにも気付き、「感謝できる人は強い」が持論となった。
中学卒業で島を出て行く子どもたちと同じ時期に角界入りした自身を重ね、返事やあいさつ、そして何事にも感謝し、人を思いやることを口酸っぱく伝えている。「今は分からなくても、あの時そう言われたな、と思い出してくれればいい」。いつか酒でも飲みながら、ゆっくり話したいとほほ笑んだ。
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