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発禁本取扱店 書店親会社の大株主を捜査

 【北京・工藤哲】中国本土での発禁本を扱う香港の書店「銅鑼湾書店」の関係者が失踪した事件で、中国のニュースサイト「澎湃(ほうはい)新聞」は28日、書店親会社の大株主、桂民海氏らを中国の警察当局が違法経営容疑で捜査していると伝えた。発禁本を中国内の客に郵送で販売した疑い。中国外務省の洪磊(こうらい)副報道局長は29日の定例会見で「関連報道を注視している」と述べ、詳細には言及しなかった。

     報道によると、桂氏は中国の報道出版部門の許可を得ないまま、書籍の表紙を偽装して税関の検査をすり抜け、発禁本を中国本土に郵送。クレジットカードで決済し、違法に利益を得た疑い。2014年10月以来、本土28の省や直轄市、自治区の380人に4000冊余りを販売した。桂氏は「中国の法律に違反した。後悔している」などと認めたという。

     また香港メディアは、昨年10月に広東省で当局に拘束された書店関係者3人が近く保釈され香港に戻るとの見通しを伝えた。3人は、桂氏の違法経営を手伝った事実を認めているという。

     桂氏はスウェーデン国籍。昨年10月に滞在先のタイで行方不明になった後、「中国当局による越境捜査」との疑念が強まり、スウェーデン当局もタイで調査に乗り出していた。今年1月、中国メディアが「交通事故の罪を償うために出頭した」と報道。中国当局による拘束が明らかになっていた。

     書店は、香港を訪れる中国人観光客の間でも知られており、関係者の相次ぐ拘束は発禁本を取り締まろうとする中国当局の圧力との見方もある。香港の民主派は「政治的な拉致だ」と中国当局を批判している。

     中国の習近平国家主席は2月中旬、北京の主要国営メディアを相次ぎ視察。国内世論を一層引き締めるとともに、政権の求心力を高める狙いもあるとみられている。

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