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ネット上では正義の名を借りた私刑が横行している。確かに非難される対象は、自己中心的であり、社会通念上褒められた行為ではないが、直接被害を被ったわけでもない、当事者とはまったく無関係な人々が、声を荒げて責めに責めまくる。
勤務中にフェイスブックを覗くような輩を非難し、浮気をする友人を注意するのは人の常である。それは自分自身の生活にはほとんど影響を与えなかったとしてもだ。
自分が直接影響を受けていない人物を罰することを”第三者処罰(Third Party Punishment)”というが、これは様々な文化で一般的に見られることである。自分だけの利益のためにルールを犯す人物に罰を与えることは、社会全体としては理にかなっているのだ。
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しかし、実社会において、誰かが誰かを非難すれば、高い代償を払うことになるかもしれない。友情が壊れるかもしれないし、恨みを買うこともあるからだ。
それなのに、なぜ人は非難するのか? 『ネイチャー』に掲載された最新の研究がその問いに答えている。
マネーゲーム実験
アメリカ、イェール大学の心理学者ジリアン・ジョーダン氏らは、シンプルな経済ゲームを利用してこの現象を研究した。
このゲームは以下のような2つのステージで構成されていた。
1. 第1ステージでは、被験者の1人にお金を与え、お金を所有するか、別の被験者と共有するか選んでもらった。3人目の被験者はやはりお金を与えられているが、第1の被験者がお金を共有しなかった場合に、それを罰するか否か決定することができる。ただし、その場合、罰を与えた被験者は文字通りコストを支払わなければならない。それによっていくらかのお金を失うからだ。
2. 第2ステージでは、また別の人物にお金が与えられ、その一部を第1ステージで罰則を与えた人物に与えるか否か選ぶ。与えた額にかかわらず、それは3倍になる。それから、それを受け取った人物は、そのお金の一部を返却するかどうか選ぶ。
その結果は少々意外なものだった。
利己的な行為を行った人物を罰した場合、被験者は罰を与えた者に喜んで報酬(お金)を授ける傾向にあったのだ。ジョーダン氏の推測では、それが信頼を置けるかどうかを示すサインであることが理由であるという。また、報酬を受けた被験者は、その一部を返還する傾向にあった。すなわち、信頼が正しいことを示唆するサインだという。
言い換えれば、「誰かが利己的な人物を罰するためにお金の一部を犠牲しようとするならば、彼らはより信頼できるとみなされるし、かつ信頼できる」ということだ。
だが思わぬ展開がある。ジョーダン氏らが第1ステージの罰則者にお金を与える立場になる選択肢を提示すると、与える選択をした被験者は、他の被験者からより多くのお金を受け取る傾向にあったのだ。
このことは、悪い行為を罰することが信頼感を醸成する一方で、他人に協力することはそれ以上の信頼獲得につながる可能性を示している。
他人を罰する理由
実験全体としては、利己的な人への処罰は社会にとって利益があるだけでなく、個人にとっても利益があることを示していた。
この結果は、実験的な環境あるいは実社会における罰則に関する先行研究を補足するものだ。2012年のある研究では、ギリシア、アテネ市内の地下鉄で2種の社会ルールを破り、それに対する反応を観察してみた。最初の実験では、通常歩行者のために開けられているエスカレーターの左側に立ち、別の実験では、わざとゴミをポイ捨てしている。
全体としては、その行為を咎めた通行人はわずか12%でしかなかった。また、ゴミ捨てよりも、エスカレーターの左側に立ったことを注意される方がずっと多かった。さらに女性よりは、男性の方が注意する傾向にあった。
この結果は、他人を咎めたいと思っていながらも、実際にそうする人は一部でしかないことを示している。
では、一部の人が他人よりも実際に注意を促す傾向にあるのは何故なのだろうか? 今回の研究は、そこまでは扱っていない。
しかしジョーダン氏は、他人への処罰が理にかなっているのは、悪い行為が重大な結果をもたらすような、法制度がしっかり整った社会においてのみだと推測する。反対に悪い行為をやり逃げできるような社会では、他人を罰して個人的なリスクを負うインセンティブは生じないだろう。
また信頼を獲得しようと、何も悪いことをしていない人物を罰しても意味がないことも判明している。無実の人を罰した場合の代償は、罰則者とみなされる利益を上回っているようだ。
via:.theatlantic・dailymail・ctpost・translated hiroching
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コメント
1. 匿名処理班
ソーシャルジャスティスウォーリアーは自己満足の為だけに正義を振りかざしてるだけだよ
2.
3. 匿名処理班
絶対安全な立場から絶対的な弱者をいたぶるのは、単に気分がいいだけだと思う
4.
5.