経済力は、国の軍事力を支える最も重要な原資産だ。韓国銀行(中央銀行)の統計によると、韓国の国民総所得(GNI)は北朝鮮の44倍に達する。1人当たりの所得も21倍だ。どのような基準で見ても韓国と北朝鮮の経済力は比較にならないほど開いている。
しかし経済力の強い国が軍事力でも優位にあるかといえば、必ずしもそうではない。むしろ自国の経済力にあぐらをかいていて軍事的にやられてしまった国が歴史上に数多く存在する。19世紀初頭、中国は世界最強の経済大国だった。中国経済は世界の経済(GDP)の33%を占めていた。しかし英国海軍の大砲によってあっけなく崩れ落ちた。当時、英国の経済が世界に占める割合はせいぜい5%程度だった。
英国の経済力が最高潮に達していたのは1870年ごろだ。世界の経済の9%を占めるまでになり、太陽の沈まない国「大英帝国」として君臨した。しかし、それまで英国の経済力は植民地インドより弱かったというのが、経済史学者たちの結論だ。
1875年、日本は朝鮮に開放を迫り、軍艦「雲揚号」を江華島に送り込んだ。そのころ両国の経済力にさほど大きな差はなかった。日本の1人当たり国民所得(GDP)は737ドル(1990年のドル基準)、朝鮮は604ドルというレベルだった。経済力の差だけで見れば、恥辱の歴史は生まれなかったはずだ。
結局、朝鮮が膝を屈したのは日本の軍事力のためだった。日本は英国・米国の先端技術を導入し、新しい軍艦を建造した上、大砲や銃の性能も向上させたのだ。朝鮮のエリートたちが産業革命を「野蛮人らの邪悪なこと」程度にしか考えていなかったのとは対照的だった。