ハラル食品団地について農林畜産食品部のイ・ジュミョン食品産業政策官は「うわさはいずれも事実ではない」と否定した。益山食品団地は大きく五つの区画に分かれているが、ハラル食品団地はこのうちの一部にすぎないというわけだ。ハラル食品関連企業だからといってムスリムを雇用する義務はなく、実際に韓国国内のハラル食品関連企業のうちムスリムを雇用している企業はないということが分かっている。うわさになっている定住支援金は、国家食品クラスターへの入居企業の社員に対し、全羅北道と益山市が毎月150万ウォンを6カ月間にわたり「雇用支援金」として支給するもので、これは全ての企業に適用される。
イ・ジュミョン政策官は「入居の意向を示した企業が3社しかなく、現段階ではハラル食品区域を新たに指定する計画はない」と明らかにした。実際にハラル食品輸出企業の大半は、工場移転に難色を示している。あるハラル食品関連企業の関係者は「ほとんどのハラル食品関連企業はハラルのほかに主力事業があり、ハラル食品と同時進行でやっているため、あえて益山に工場を移転する理由がない」と話した。
政府が釈明しても、反対している団体の反応は冷ややかだ。韓国教会連合のキム・フン企画広報室長は「すでに幾つもの国々がムスリムによるテロに脅かされ、経済性も不確実な状況で、あえてこの事業を推進すべきなのか疑問だ」と述べた。
イスラムの専門家、イ・ヒス漢陽大教授(文化人類学)は「ハラル食品をめぐってこのような論争が起きたのは世界でも韓国だけだろう」として「ハラル食品は基本的に輸出品であり、ムスリムが製造するのではなくムスリムに売るための食品なのに、韓国にムスリムが急増するというのは飛躍し過ぎた考え方だ」と指摘した。
政府の性急な事業推進を懸念する声もある。チョン・セウォン檀国大教授(中東学)は「韓国には反イスラム感情があるため、政府主導で事業が推進されれば反発が起きるのは予想されたこと。基本的に各企業主導で推進し、やむを得ず政府が支援しなければならない場合は反対意見にも耳を傾け慎重にアプローチする必要がある」と指摘した。