HOME > レビュー > 4K放送録画禁止問題に迫る(4) テレビ局や著作権者側は、なぜ『コピー禁止』を希望するのか
2016年2月27日/麻倉怜士
「高度広帯域衛星デジタル放送 運用規定 1.0版」で判明した、4K/8K放送の『コピー禁止』問題の第4回をお届けする。前回と前々回は運用規定をとりまとめたNexTV-Fを取材した麻倉さんに、この問題が起こった経緯や現在の状況について解説してもらった。今回は、そもそもなぜテレビ局側が『コピー禁止』の運用にこだわっているのかについて、日本民間放送連盟(民放連)に直接お話を聞いた。(編集部・哲)
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また蒸し返された、放送局による録画禁止の動きにNo! の声を
(2) きっかけとなった運用規定に関し、発行元のNexTV-Fを直撃(前)
(3) きっかけとなった運用規定に関し、発行元のNexTV-Fを直撃(後)
麻倉 今日は民放連さんにお伺いして、4K/8K放送の『コピー禁止』運用についてのお話をお聞きしたいと思っています。
前回NexTV-Fを取材した際に、『コピー禁止』信号を運用可能にして欲しいという提案が放送局・著作権者からなされたというお話を聞きました。であれば、まずは民放連さんにその経緯と狙いを聞くのが早道です。
竹内 民放連 事務局の竹内と申します。本日麻倉さんのご質問に答えさせていただきます。ただ今回の問題については、民放連として各局と詳細まで話し合いが出来ているわけではありません。あくまでも私のわかる範囲でのご回答になりますので、ご了承ください。
麻倉 承知いたしました。既に今回の問題についてはネット等でユーザーの意見も多く出ており、感情的な議論も多く見受けられます。これに対し、放送局や著作権者側からの意見は出てきていませんので、民放連さんからもきちんとしたお話を伺いたいと思いました。
NexTV-Fさんに取材した際に、今回の問題は4K/8K放送において『コピー禁止』の運用を認めて欲しいという希望が放送局と著作権者側から出されたことがきっかけだったということでした。そもそもこれは、どういった経緯だったのでしょう?
竹内 NexTV-F内で、4K/8K放送の『コピー禁止』に関する運用も可能にして欲しいと要望したのは、民放5社が中心となっていると聞いています。この動きを民放連などが後押しした形になります。
『コピー禁止』の主な狙いはインターネット等への違法アップロード対策という側面にあります。放送事業者と関連する権利者としては、違法アップロードにたいへん困っています。それに対し、どんな対策があるのかという点が共通の悩みとなっているのです。
麻倉 以前は違法コピーがメディアで流通するのが大半でしたが、最近はネット上での流出の方が問題ということですか?
竹内 確かに昔は放送コンテンツがDVDにコピーされ、ネットなどで販売されると言うことがありましたが、最近はやはり違法配信の方が問題ですね。特にサーバーが海外にある場合は対策も難しく、YouTubeを含めてネット側も対応してくれてはいますが、完全に抑制することはなかなか難しい状態です。
また広告放送事業者としては、視聴者がHDDなどに録画して視聴する時に、メーカーがさまざまな機能を開発されて、容易にCMをスキップできるようになってしまったことも問題です。
もちろん視聴者自身が意図的にCMをスキップするのはやむを得ませんが、最初から機能として搭載されているのは困ります。広告放送としては、それが広がると次の番組を制作しようにも広告主がいなくなるのではないかと懸念しています。
このような問題もあり、放送事業者として録画機器を作るメーカーや、NexTV-Fのように放送に関する運用規定、技術仕様をとりまとめる団体に、もう少しコンテンツの価値に配慮してもらいたいと検討をお願いしているわけです。
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