シリア、「兵糧攻め」で数千人が餓死か 国連
2016年02月29日 22:31 発信地:ジュネーブ/スイス
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【2月29日 AFP】国連人権理事会(UNHRC)のゼイド・ラアド・アル・フセイン(Zeid Ra'ad Al Hussein)高等弁務官は29日、年次会議の冒頭で、内戦状態が続くシリア国内では包囲攻撃により約50万人が影響を受け、数千人の餓死者が出ている可能性があると警告した。
フセイン弁務官は「人々を意図的に餓死へと追い込むことは、戦争の手段として明白に禁じられている。それはつまり、食糧のような必需品を民間人から奪う兵糧攻めも同じく禁じられているということだ」と非難した。同弁務官によればシリアでは現在約48万人が、包囲された都市や集落から脱出できない絶望的な状況にあり、長い場合は数年にわたってそうした状況が続いているケースも存在するという。
先月、飢えにあえぐ住民たちの衝撃的な映像が広まり、包囲されたシリア人の窮状を示す象徴となったダマスカス(Damascus)県の町マダヤ(Madaya)だけで数十人が餓死したと、援助関係者は話している。
さらにフセイン弁務官は、実情は一層悲惨な可能性があり「数千人の餓死者が出たかもしれない」と述べた。
シリアでは27日に発効した停戦により5年ぶりに戦闘が停止した。今後5日間で援助機関により、包囲地域に暮らす約15万4000人に食糧が配給されると期待されている。
しかしフセイン弁務官は「居住区や学校、大勢の人々が集まる市場などは無数の空爆で破壊され、街路や住宅にはヘリコプターから無数のたる爆弾が投下され」、シリアの人権は5年近くの間に「あまりにもひどく侵害されてしまった」と嘆いた。(c)AFP