私は主に、任天堂のネットワークサービスを支えるサーバー開発業務を担当していますが、その私がWii Uの『Splatoon(スプラトゥーン)』のWeb連携開発に関わることになったのは、このゲームが発売後に新しいステージやブキを配信する「サービス運営」が必要なゲームだったからです。『Splatoon』の開発終盤にゲーム開発者から、お客様にどのように『Splatoon』が遊ばれるかを知りたいと相談を受けました。そこでまず、クラウドサービス(※)を活用して対戦結果のログを集めるサーバーを作り、ブキのトレンドの推移などのデータを開発者がほぼリアルタイムで確認できる仕組みを作りました。
さらに、集めたログを社内だけに留めておくのはもったいないという話になり、対戦結果を集計して、成績がいい人のランキングを任天堂公式ホームページ(以下公式サイト)で表示する仕組みも開発しました。
公式サイトのページビューは『Splatoon』が発売されると、一気に増えました。すると、開発チームから「さらにこのゲームに特化したネットワークサービスを展開できないだろうか」という相談を受けました。そのとき私は「あったらいいのに」と、ずっと自分が望んできたものを作れるチャンスだと思いました。というのも、以前からフレンド(登録した友達)とネットワークで遊びたいと思ってWii Uの電源を入れても、オンラインのフレンドがいなくてがっかりした、という経験があったからです。加えて『Splatoon』は、フレンドと一緒に対戦すれば、さらに楽しさが味わえるゲームです。そこで、急いで企画をまとめて、開発チームに提案したのがフレンド交流サービス「イカリング」です。間近にせまった、大型アップデートのタイミングに合わせてリリースするべく、若手中心のチームで開発を行いました。