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節操もなし

滅相も無い、節操「が」ないだけです。

SessouMoNashi

井の中の蛙、大海を知らず。【自分の小さな「箱」から脱出する方法】

読書

「技術」にばかり目がいっているけど

 そろそろ大学4年生の方々は、新しい環境に飛び込むことへの期待とちょびっとの恐れがある時期ではないかな、と思っています。(留年する方や院に行く方はそこまでじゃないかもしれないけどね!) 特に、新卒で入社する方々はこの時期、何気なくビジネス書や自己啓発本を読み漁るのでは?

 ところで、「技術系」「テクニック系」「〜するための○個のリスト」的な書籍は大量にありますが、意外とその手前の話をしてくれる本は少ないです。(洋書では多いのかもしれませんが、日本人は本質部分をぼかしやすいのかもしれませんね。無意識に)

「箱」という自縄自縛

 この本では、人が「箱」の中に入った場合、何をしても人間関係においてはマイナスにしか作用しない、と指摘している。それは、「箱」の中に居る時点で自己を正当化し、他者を悪くみるように『解釈』してしまうからである。

 「箱」を言い換えるなら「世界観」と言っても良いかもしれない。
どのように自分を、他者を解釈するか。理解するか、によって全ての行動がどのように作用するか、が決定付けられる。

 結局のところ、人はこの「箱」というもので自分を縛り付けながら、同時に自分と他者を解釈し、その上で対人関係の悪化、軋轢、批判、孤立などが生み出してしまうのだ。(なんとも非生産的でありながら、当の本人にはそれが「生産的」と感じている所がとても厄介)

「箱」の中に入るには『自分を裏切れ』

 「箱」の中に入る方法は意外と簡単である。誰でも出来る。それは「自分を裏切る」ことだ。自分を裏切る、とは「自分が他者のために"すべき"と感じたことに背く行動をする」で、これを行った場合、すぐさまに人間は「箱」の中に入る事ができる。ここだけ述べても判りづらいだろうから、ころがるの日常を実例にあげたい。

ころがるの例

 例えばころがるは昨日、電車を使って出かけていた。乗った車両はやや混み気味で、もちろんだが座席は埋まっている。運良く座席に座れることは出来たので良かったが、足腰も疲れ、ゆっくりと座席に座っていたいと感じていました。

 そんな心境の時、電車に乗り込んできたおばあちゃん。杖もついているし、手荷物も持っていて明らかに大変そうだ。即座に「譲ってあげた方が良い」という思いが芽生えてきた。……しかし結局座席からは立たずに、ころがるはこう思った。「いや、そもそも先に乗っていた自分だし、自分だって疲れている。他にも立っている人が居るのだから、このおばあちゃんだけが特別なわけじゃない。第一、他にも譲るべき人々は居るだろう。その人達がこのおばあちゃんに譲るべきであって、疲れている自分は座っていても良い。」

 これが典型的な『自分を裏切る』という行為である、ということは賢明な皆さんはお分かりだろう。ころがるは、最初こそ『他者に良いことをしよう』と考えたが、それを行動に移す事なく、『移せなかった言い訳、しかもそれは自己正当化他者への批判というコンボをかましていたのだ。それは裏切った自分を正当化するためであり、その為には周りの状況、人々を余す所なく使う為に「解釈」を施すのだった。

「箱」から出よう

 「箱」の内側に居る間、他者という存在は自分にとってどれほど得か損かといったような「物」でしか存在し得ない。たとえ口や態度では人間扱いしたとしても、そうやって接された側は薄っぺらい愛情、薄っぺらい友情、薄っぺらい同情とやらに反応してしまう。それを改善するには、自分自身が「箱」の内側から外側に出るしかない。

 その為にも、この本が伝えようとしていることを熟考し、自分に当てはめ、そして実際に行動することはとても有益だと思います。特別な場所は必要ありません。家庭や学校、職場がこの本の言おうとしていることを実践する場所になると読んだころがるは感じましたから。

まとめ

 対話形式で進んで行く書籍だったので、パラパラと読みやすかったですね。
ただし書いていることは本当に大切なことだな、と感じました。なによりも「箱」に居る間に自己正当化をし、他者を批判してしまうメカニズムを説明する箇所に関しては自分に当てはまり過ぎて、即座に実例が出せるほどにピッタリ当てはまっていました。恥ずかしい話ではありますが、実例なのでご参考にしてください。
   自己啓発本などによくある「〜のリスト」的なものはこの本には存在しません。それを求めている人に、この本は駄作と言っても良いでしょう。回りくどいですし、こんな話がなんの関係があるんだ?と感じてしまうに違いありません。読まない方がきっと良いです、、、(読んだ方が良いと思いますけどね。)

 そんなこんなでこの本、オススメですっ!