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得々家計

携帯3社の低料金プラン 検討すべきは「使わない人」

 
日経PC21

2016/2/29

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 携帯電話大手3社が総務省の要請に応え、2016年3月から順次投入する低料金プラン。いずれもデータ通信量が少ない利用者を対象にしており、おおむね月5000円以下という安さが売りだ。

■ドコモは家族利用が前提

 まず、3社の新プランは2つのタイプに分けられる(図1)。auとソフトバンクは、月1ギガという低容量のデータ通信プランを新設した。基本使用料(定額制の通話料を含む)とネット接続料を合わせたスマート

日経PC21

 携帯電話大手3社が総務省の要請に応え、2016年3月から順次投入する低料金プラン。いずれもデータ通信量が少ない利用者を対象にしており、おおむね月5000円以下という安さが売りだ。

■ドコモは家族利用が前提

 まず、3社の新プランは2つのタイプに分けられる(図1)。auとソフトバンクは、月1ギガという低容量のデータ通信プランを新設した。基本使用料(定額制の通話料を含む)とネット接続料を合わせたスマートフォン(スマホ)の利用料金は、月4900円に収まる。これに対してNTTドコモは、家族契約を条件とした低価格なプランを打ち出した。家族3人で契約すれば、1人当たり実質月4500円になる格好だ。

  • 図1 auとソフトバンクは、月1ギガの低容量プランを導入し、1人当たり月4900円を実現。ドコモは、5ギガのデータ通信容量を家族で分け合う低料金プランを新設し、3人契約時に1人当たり月4500円とした

 では3社のプランを具体的に見ていこう。auは、従来のデータ通信の最安プラン「3ギガ月4200円」の下に「1ギガ月2900円」を追加。これで月1300円安くなる。16年3月から提供する予定だ。

 ソフトバンクも同じく「1ギガ月2900円」を新たに追加。さらに、従来まで適用外だった安い通話プラン(基本使用料)に加入できるようにすることで、月1600円引き下げている(図2)。提供開始は4月以降の予定。

  • 図2 auとソフトバンクの従来の最安プランに対して、データ通信量を1ギガに抑えた新プランを比較した。auはデータ通信量3ギガが最安だったが、1300円安くなる。ソフトバンクはデータ通信量が半減し、600円安くなる。5分以内の通話が無料の「スマ放題ライト」を契約できるようにもなり、合計1600円安くなる

 ドコモでは、家族でデータ通信容量を分け合えるデータ通信プランに、「5ギガ月6500円」という最安の「シェアパック5」を追加した(図3)。3月から提供する。

  • 図3 ドコモの「シェアパック5」の料金体系。「カケホーダイライト」と組み合わせて使えるようになったため、月々の基本料が1700 円で済む。データ通信料は、主回線が6500円、子回線は500円の「シェアオプション」料金がかかる

 例えば、家族3人で1人ずつ月2ギガの従来のデータ通信プランに加入していたと仮定すると、毎月の支払総額は1万9500円。シェアパック5に加入すれば、月6000円もの節約になるのだ(図4)。ただし、最安プランではデータ通信の総容量がやや減り、通話も5分を超えた分が有料のライトプランに変わる点には注意したい。

  • 図4 家族2人または3人でシェアパック5に加入したケースを従来プランと比較。従来は、各自「カケホーダイ」(2700円)と月2ギガの通信プラン(3500円)を契約。新プランでは、新たに加入対象になった「カケホーダイライト」(1700円)と、シェアパック5(主回線6500円)、シェアオプション(子回線500円)を契約。1人当たりの実質料金は家族2人で月5500円、3人で4500円になる

 以上のように、各社が打ち出した低料金プランは、単なる値下げではない。データ通信量を1ギガ程度に抑えたり、通話プランを見直したりすることで実現している。大きなメリットがあるのは、あまりデータ通信を使わない利用者に限られるのが真相だ。

(ライター 原如宏)

[日経PC21 2016年4月号の記事を再構成]

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