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イカの寿司を50貫、桶盛り込みで出前する。
桶の向こうに水平線が見えた。 > 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes イカは語る寿司を出前した。50貫の盛り込み寿司である。
しかし盛り込んであるのはイカのみだ。 大人のたわむれだ。見てみたかったのだ。真っ白な寿司桶というものを。 イカばかり50貫が盛り込まれた寿司桶。なんとなくの想像はつく。さぞ白かろう。白かろうなあ。 そうしてぽやぽやと寿司を待ち、昼をすぎ寿司桶はやってきた。目の前にする。うん、白い。想像通りである。 しかし想像の通りでも現実として目の前にしたときの迫力、想像を超えてくるものがやはりあるのだ。 こだわりのないたちで、映画も舞台も別に劇場に行かずとも自宅のテレビでDVDで観ればいいじゃんと思っていた。 違う。 イカの寿司50貫をもってライブであることの重要性を知らされる。 こんにちは。デイリーポータルZ編集部です。
世界は豊かで人は優しい1人で50貫はさすがに食べきれない。サイト関係者に集まってもらおうとまずは編集部に声をかけたら6人全員が参加すると手をあげた。
日ごろ取材や打ち合わせで6人全員がそろうことはまれなのだ。イカを通じ6人の心がひとつになった。 そういえば、このいたずらのようにも思える注文にもお寿司屋の電話口の方は一切疑う様子はなかった。 「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」。語る内容の重みの違いに恐縮しながらも森達也さんの本のタイトルが思い浮かぶ。 イカで心がひとつになり、そしてイカばかりの注文も疑われない。世界は豊かで人は優しい。 水平線を見ませんか「水平線を見ませんか」指定の時間ぴったりに到着し早々に寿司桶をながめて石川がそういった。「水平線を見ましょうよ」2回いった。
イカだけの寿司桶は海であった水平線。なにいってんの、と思って石川にならって見れば確かにイカの向こうに水平線が見える。
イカのみなもが揺れる。海だ。 うまい
50貫を6人で食べる。最初は何貫食べたか数えながら箸をすすめていたのだが途中で何個食べたかわからなくなった。みんなそうだという。
腹に余裕のある者が多く食べる方式でらくらく50貫が消えた。 寿司を桶で頼むがイカばかりである。圧倒的な白さは迫力をもって海であり、おなかはいっぱいになった。 寿司桶のアップ写真をTwitterに上げたら不適切であるといわれた。分からなくもない
「馬がいるな」「ほんとだ」「馬だ」「馬ですね」
イカの寿司をたらふく食べ終わり執務室に戻ろうとするとブラインドから外を覗いて編集長の林が「馬だ」といった。 事務所の入っているオフィスビルの向いに、馬がいる。 「今度なでに行こう」林はそういって、翌日なでていて会議に遅れた。
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