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のあっぺのしゃこうぐらし!

1年間の浪人生活を経て、大学生となる。そして、20歳の春。年下の彼女と共に過ごす楽しい春ではなく、そこに現れたのは人里離れた土地で運転し続ける毎日だった。

複数教習w

受付のロビーで佇む女の子が居た。

彼女は手帳を開き、深いため息をついた。
その教習手帳には1つの印鑑も押されず、ただまっさらなものだった。

彼女は後ろの自分に気づいたらしい。
「こんにちは、合宿免許ですか?」
と尋ねてきた。
初対面の人との会話はどうしても苦手だ。どんな話題で話したらいいのか、そればかり考えて、さらには相手の機嫌をうかがいすぎて、自分の話したいことをほとんど話せない。
だから、はい。とだけシンプルに答えた。
そうすると、
「この辺、なにもないですよね、スーパーに行くにも、ものすごく時間がかかっちゃうし。」
と彼女は言う。
たしかに、ここにきてからというものすべての買い物は寮についている売店で済ませてる。売店のおばさんは、買い物毎に、飴玉をサービスしてくれる。
「じつは、私この辺の人間なんです」
聞いてもないのに、よく喋る女の子だなぁ。正直そろそろ勘弁してくれよと思った。
でも、まだまだ話し続けるので耳を傾けることにした。
「大学生の方ですよね?私、この春高校を卒業したんですけど、キャンパスライフってとても憧れます」
「そんなにいいものじゃないですよ。高校の頃の方がよっぽど生きてるって感じだったし」
「なんか、夢のない話ですね。そんな現実を高校を出たばかりの女の子にぶつけるなんてひどくないですか?」
華奢な女の子だなぁ。と感じ始める。まだ、若さに満ち溢れてる。大学で単位に飢え始めた大学生が失った目の輝きを彼女は持っていた。
「そういえば、教習のほうはどうですか??もう卒業間近だったり」
「なぁに、技能的に俺は劣ってるから、卒業は伸びちゃいそうだよ」
「弱気になってはだめですよ。まぁ、現地民の私にとってはここにこんな変わった人がいつまでも居残ってくれるのは嬉しいですけどね」
「変わった人とは随分と失礼だな。まだ少し会話を交わしただけじゃないか。それはそうと、君の方は教習はどうなの?手帳を見た感じこの辺の人とはいえ、まだまだ教習は進んでないようだけど」

そういったとき、たしかに彼女は少し寂しげな表情をした。

「そうですね。当たり前じゃないですか、この間高校をやっと卒業したわけですし。」
「それはたしかにそうか。まぁ、通いなら合宿免許みたいなところあると思うから、割と早く免許は取れるんじゃないのか」
「はい…ところで、先輩の住んでいるところはどんなところなんです?」
「先輩?」
「大学生の時点で、私より年上なんですよ。だから先輩です」
「よくわからん理論だな。まぁいいや。俺の住んでるところはここまで田舎じゃないが都会でもないって感じの場所だ」
「へぇ。やっぱりここってめちゃくちゃ田舎に見えちゃってるんですね」
「誰がどう見てもそうだろうな。一面畑じゃないか。教習中、いつお年寄りが飛び出してくるかわからないからヒヤヒヤするよ」
「たしかに。飛び出してくるかもしれませんね」
そういって、同調しながら彼女は笑った。
その純粋な感じの笑いは、他の合宿免許に参加している女学生とは全く違う感じだった。なんというか、この状態が永遠に続いてくれればなぁって感じの。

ここの自動車学校で、入校日に渡されるカバンがあるのだけれど、よく見るとその彼女のカバンは使い古した感じがなぜかでていた。

あれ?この間からこの学校の教習に参加したと聞いたが、どういうことなんだろう。

「なんでそんなにカバン汚れてるんだ?まさに、卒業間近、いや卒業延長してるような使い古した感出てるんだが」
「あっ、これですか。これはですね、私のものの扱いが悪いだけです。はい」

ちょっとオドオドしながらそう答えた。これが本当なら、ものすごく、ものの扱いが悪いに違いない。姿からはまったくも想像できない。

よく身なりを見てみると気づかされるのだが、彼女は今時の女子高生が好むような服装ではなく、わりと古風、いや服装には全く関心がないような、そう、田舎暮らしの女の子って感じのものだった。

「こんなに、人と話したのは久しぶりだなぁ」
どういうことだろう。
って感じな表情をしたからなのだろう。
「いや、別に家族と疎遠になってるわけじゃないんですよ。もちろん友達が少ないってわけでもないです」
家族と疎遠っていうのはないにしても、友達がそこまで多いとは思えなかった。自分に話しかけてくれたとはいえ…

「友達とこの教習に参加しとけば、こんなコミュ障な大学生と話すこともなかっただろうに」
「コミュ障?」
「コミュ障、コミュニケーション障害。コミュニケーションをとるのが苦手な人が大げさに使う言い回しだよ」
「へぇ、知らなかったです」

この町の言語文化も多少の遅れがあるのかもしれない。それか、田舎ならではの誰とでも仲良くなれるってやつなのか。

「先輩は、好きな人とかいたりします?大学生って好きな人と一緒にキャンパスを歩いたり」
「ああ、アレは都市伝説。俺は常に独り身だわ。」
「ドキドキの恋愛トーク聞けると思ったのに残念です」
「勝手に期待したそっちが悪い」
「そうですね。先輩はコミュ障ですもんね」
少しイラっときたりした

「嘘ですよ。先輩は、こんな私と会話してくれたんですもん、きっとコミュ障なんかじゃないですよ。」
「あのこれ、話してくれたお礼です。」

そういって、オレンジのキャンディを渡してきた。
「ああ、ありがたくいただくよ」
「もう、会えないかもしれないですけど、先輩もお元気で」

最後の言葉は少し意味深な発言だった気がするが、田舎で出会った少し変わった女の子ってことでその日は深く考えないことにした。

ただ、ここにいたらまた姿だけは見えるのでは。と思いそれからは少し注意するようになった。

しかし、彼女どころか、彼女のような雰囲気を出す女の子さえ、この教習所には全くいなくなっていた。もしかしたら、彼女は異次元のものだったのかもしれない。オタクにはよくある、空想上の女の子への思い。それに似たようなものなんだろう。

数日後、小耳に挟んだのだが、ここの教習所は建物自体は新しいが、昔からあった建物を壊して作ったものだという。その建物の名残としてだろう。小さな小屋だけが教習所の隅に立ったままになっている。
あれは古くからこの田舎町に存在した屋敷の離れだったらしい。
ここからが本題なのだが、そのためか、ここの教習所では、座敷童の女の子が時折姿をみせるらしい。彼女は免許合宿で訪れた変わった人を見ては話しかけるらしい。最後の言葉に、もう会えないなどといった言葉があったが、それが示すのは、人の前に姿をみせるためのパワーが建物の新築によりほぼ失われているため、短時間しか人前に出ていけないということらしい。

いままで会った子の中ではとても理想に近い容姿をした可愛らしい子だった。
それがこの田舎町で過ごした1番の出来事だったのかもしれない。
あの残された小さな建物がこれからも残っていくと彼女も寂しい思いをしないだろうなぁとしみじみと思った。



っていう夢を見るくらい帰りたいです。
早くお家に帰らせてくれよぉ〜

ちなみに
この話に出てきた人物、団体等は架空のものであり、物語にかんしてもフィクションです。

では、さっそく今日のブログです。

複数教習がありました。僕の運転を他人に見てもらうものですね。
ブレーキの利かせ方があまりうまくないと…

はぁツライ。

もともと第一段階で蹴つまずいていたのでまぁしゃあないのかもしれないですね。

あと残りわずかですが、嫌な教官に当たらずにできればストレートで卒業、いや無理か。

というわけで、あとすこし。
3/3にシャバに出られることを祈ってお休み!