野心的な若い男性が自分の体形に執着する理由は、虚栄心だけではないかもしれない。リーダーの地位に向けて、計算された一歩を踏み出している可能性もある。
最近の調査研究から、人は男性の身体的な強さを、高い地位やリーダーの資質と同一視することを示している。研究員たちは調査の参加者に、肩、胸、腕の筋肉をひけらかすようアンダーシャツを身に着けた複数の若い男性と女性の写真を見せた。
写真に写る人たちはコンサルティング会社の新規採用者だと、参加者たちは事前に教えられた。そして、被写体にどれほど好感を抱き、どれほど尊敬し、どれくらい出世すると思うか評価するよう求められた。「この人は良いリーダーだと思いますか」というのが、質問事項の1つだった。
研究者たちは被写体の身長や魅力の程度によって結果が歪められる可能性を考慮に入れるために、いわば「トップス・アンド・テールズ」という子供の遊びの学術版で画像を加工し、体と頭を入れ替えたり、身長を操作したりした。参加者は一貫して、地位とリーダーの資質について、より力強い男性の方を高く評価した。見せられた写真が女性だった場合は、被写体が強いか弱いかによって違いはほとんど生じなかった。
■「背の高い人、キャリアに有利」と調査
ジャーナル・オブ・パーソナリティー・アンド・ソーシャル・サイコロジー誌に間もなく発表される調査研究は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がよく自分の体格を誇示することや、ドナルド・トランプ氏がその「並外れた」体力に関する医師の見解を公表したことを是認するように思える。また、企業経営者の身体的な特徴に関するたくさんの研究に新たな材料を加えることにもなる。
例えば、2004年のある研究論文は、身長に関する調査に注目、背の高い人がキャリアにおいて有利であることを発見。身長約183センチの人は165センチしかない人よりも、30年間でほぼ16万6000ドル多くお金を稼ぐことを突き止めた。英ウォーリック・ビジネス・スクールの昨年の研究は、ビジネス、軍隊、スポーツの世界でトップに上り詰める男性には顔立ちに共通点があることを示していた。